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おせち

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あけましておめでとうございます。今年も無事、おせちを作って食べるお正月を迎えることができました。只今徹底的に食っちゃ寝の正月を過ごしております。取り急ぎ、写真だけのアップでご容赦下さい。今年も、マイペースで自分で作って食べる毎日を過ごしていきたいと思っております。今年もどうぞ、ゆるゆるとお付き合い頂けますと幸いです。

一の重

一の重(左上から時計回りに)

今年は絞り込んで10品。会社の仕事納めが一般的な日よりも1日遅いので、あまり時間がかけられないと踏んで絞った&量も控えたのですが、結果的に、よかった気がします。今年はほとんどのものを三が日で食べきりました。品数を絞るにあたって、夫に「絶対欲しいのはなに?」と聞いたところ、「数の子ときんとん!」と元気よく言われました。というか、その2品だけでいいと。あとは、叩きごぼうとごまめはあってもいいそうで、それ以外は「雑煮さえあれば、あとはいらない」と言われました…。こんな人と一緒に、毎年、おせちを食べてます…(でも、一応頑張って全種類食べて、感想を言うように心がけているようです)。

昆布巻は私が大好物なので、毎年私のために作っていますが、今年は手間を省くためにとうとう、中身は塩鮭1本になりました。本当は鯡も好きなのですが、あれは、うちみたいに鍋も火口も少ない家だと大変なんですよね…。もう少し余裕があるときにまた作りたいです。今年は時鮭の甘塩を使いましたが、見た目を考えると、紅鮭の方がよかったかもしれませんが、味的には問題なし。昆布もこれまでに色々試してみましたが、今年は早煮昆布で。分厚めに巻いて、日本酒だけで柔らかくなるまで下煮。塩鮭から味が出ているので、そこをジャマしない程度に、みりん、しょうゆを重ねてゆっくり味を含ませます。含ませまで入れると2日は欲しい。早煮昆布は柔らかく仕上がってこれはこれで好きなのですが、できれば、もう少しトロリとねちっとした感じになる昆布を使いたいなぁ…とは思う。それが昆布の問題なのか、調理時間の違いなのかは分からないけど…。

自分のために作るものはあと2品。龍眼巻ね。土井さんの本では「あなご巻」とありますが、うずらの玉子で目玉を入れているし、龍眼と言った方がおめでたい雰囲気なので、勝手にそう呼んでます。早い話が、うずらのゆで玉子を穴子で巻いて甘辛いたれでさっと煮付けるだけでして、これはすごく簡単。開いているものを買ってくれば短時間で作れるので、例年、最後の最後に作ります。そもそもこれ、私しか食べないし(夫は穴子は泥臭く感じるそうで、嫌い)。穴子はこの時期に築地に行くときれいにさばいたものがお手軽価格でたくさんあります。今年は、1枚100円で買ってきました。穴子は近所の魚やでも買えますが、高いし、身が薄いしで、買う気がしない。だから、年末の築地の買い出しの時だけのお楽しみなのです。あえてのコツは、調理前にしっかり皮の表面のぬめりをこそげ落とすこと。巻き終わったらきちんとたこ糸で縛ること。土井さんの本にあるタレの塩梅は絶妙。一晩冷やすと出てる煮こごりもグー。今年も美味しかった。

自分のためのもう一品は、五色なます。れんこん、にんじん、だいこん、揚げ、干ししいたけ。炒めて、土佐酢(本だと三杯酢)を絡めて手早く味を含ませます。普通のなますは少し苦手なのですが、これだとたくさん食べられていいの。

巻物はおせちの華だと勝手に思っているけど、最大の華はこの八幡巻かな。しつこくしつこく作り続けているけど、今年は相当うまくできた! と思う。夫も大絶賛。とにかく、この料理は丁寧さが要求されるのですが、芯のごぼうと金時人参の下処理から「ていねい、ていねい…」とつぶやきながら作業したのがよかったのか、今年はいい仕上がりで、ホント嬉しい。ちなみに、お肉は、今年はグラム2000円の松阪牛の肩ロース薄切りを使いました。ケチケチ巻いたので、15㎝のが6本で、150グラムで間に合ってしまった。よいお肉を少しだけ多めに買って、残ったのを冷凍し、あとですき焼きなんぞをする…のが、おせちの後の密かな楽しみでもあるので、今年も楽しみ…。

数の子はすごく美味しかったけど、もう単純に、素材の勝利。今年は、北海道産の少し小ぶりでよく締まったものを探し当ててきたので、あとは、塩抜きして出し+薄口しょうゆ+追いかつを乗せしただけ。夫、大絶賛でした。

後は反省点ばかり。

ここ数年懸案の叩きごぼう。どうも、味が薄い、決まらない…と言うことばかり続くので、今年はごく普通のごぼうを使い、本来なら酢を入れた湯で煮るだけのところを、出しに少々味を付けたもので下煮して、叩いた後に包丁でいつもより細めに刻みました。また、胡麻酢の塩梅を少し替え、白胡麻、砂糖の量はそのままに、酢、しょうゆを半分にしました。というのも、レシピ通りの分量で作ると、シャバシャバになっちゃって、ごぼうにうまく絡んでくれないのです。今年は、かなりしっかりめのペーストになりましたが、もう少し改良の余地有りかな…。今思えば、初めての年に作ったのが一番美味しかった。ずっと同じレシピで作っているのに、いったいなんなんだろうなぁ…。

黒豆は、今年も土井式で。とにかく「8時間煮る」のが最大のポイントなのは分かっているのですが、だいたい6時間ほど煮た時点で豆がヤバイくらいに柔らかくなるんですね。なので、例年「これ以上煮ると、溶けるかも…」とビビって止めてしまい、結果煮たりず失敗…と言うことを繰り返しているので、今回は心を鬼にしてきっちり8時間煮含める。ただ、8時間煮た直後に味見してむると、なんともぼやっとした味でがっかり…。ただ、1日おいたら劇的に様変わり、美味しくなっていてビックリしました(結果的には3日以上置いたものが一番美味しかった。ということは、やはり5日前から仕込むのがいいのか…)。ぴんとはりつやのいい見た目、柔らかく、いくらでも食べられる程よい甘さ、家で作る煮豆としては言うことないと思いますが、夫が「もうちょっと、甘っ!! てのが食べたい」というので、そろそろ違うレシピに挑戦する頃なのかな…と言う気がしています(とうとう、蜜煮に挑戦か…!?)。

きんとんは、今年も焼きいもから作りました。ホイルなしで150度で90~120分、じっくり焼くのはよかったのですが、皮の近くまでこそげ取って使ったのがまずかったようで、夫が「今年のきんとんは酸っぱい」と。やっぱり、さつまいもは、皮は分厚く落とした方がいいんだなぁ。夫は、焼きいもにすると独特の風味が強く出るから、ゆでたほうがいいんじゃないか、と。うーん、ゆでいもで作るとあまり芋の味がしないから、あえて焼きいもにしてから作っているのだが、どうしたもんかなぁ。

伊達巻きは、去年使っていたかまぼこやさんの特上の鱧入りすり身を買いそびれたので、平目の刺身を叩いて酒で少し伸ばしたもので代用しているのですが、ちょっと物足りない。あと、オーブンに入れられる玉子焼き器がないので、流し缶を使ったのですが、これでは表面の焼き目がつかないので、伊達巻きらしからぬ見た目に。それに、焦げ独特の風味もつかないので、伊達巻きとしては物足りない仕上がりに。来年は、オーブンに入れられる玉子焼き器と鬼すだれを用意して挑みたいと思いました。

二の重

二の重(煮しめ)

今年は煮しめも量を抑えて作りました。初めて、辻調のレシピの煮染めを作ってみましたが、量が控えめな代わりに、味つけはかなりしっかり目。なんていいますか、売り物のような味になりました。

海老芋だけは、例年通りのレシピで。3Lサイズ2個を大ぶりに切り分けて、ゆっくり煮含めました。油断して、びっしりひび割れてしまいましたが、その分味がしみやすくなったのか、大変美味しかった。

あえて量を増やして添えたのが、生麩の煮しめ。村田さんの煮しめのレシピの中のひとつなのですが、ここ2年ほど作る度に夫が喜んで食べるので、今年はとうとう2倍で仕込みました。生麩は、角山本店のあわ麩と道明寺麩。じっくり揚げてから、出し、うすくち、みりんの煮汁に入れて軽く煮含めるだけと簡単なのですが、確かにとても美味しい。夫は、これをご飯に乗っけて、生麩煮しめ丼にして食べたい…と言っています。こればっかり食べるので、一番たくさん仕込んだ生麩からなくなりました。

平目とあわび

お造り

とうとう今年はまぐろもパスし、あわび2個と平目を半身だけ購入。あわびはお店のおじさんが「特上サイズだよ!」というのですが、帰宅して、去年の殻と比較してみると、去年のより2周り以上小さかった。去年買って来たのが出来過ぎだったのか。あわびの見極めは難しい。しかし、じっくり3時間蒸したあわびは、今年も柔らかくて美味しかった。

今年は市場に行くのが遅くなったので白身を買うのは諦めていたのですが、運良く1軒見つけて、前日に捌いたものを貰ってきました。ついさっき捌いたもの並んでいたけど、見てくれが全然違うのに驚く。裁きたてのは白くてきれい、前日のは茶ばんでいると言うか、くすんでいる。買ってきた日(30日)に少し食べて美味しかったけど、今日食べても美味しかった。29日に捌いているから、丸3日経っているのに、より美味しくなっていてビックリ。熟成って、ホント不思議だな。

巻柿

お雑煮と巻柿

お雑煮は、大分から送って貰った餅に、生麩、かまぼこ、せりに、贅沢出しをたっぷり。出しは今年も、南かやべの真昆布に秋山商店の血合い抜き薄削り節を普段の倍使ったもの。

お持ちと一緒に送られてきた巻柿を薄くスライスして添える。優しい甘さが美味しい。案外、これも、お酒に合いました。

おせち

おせち by nekotano
おせち by nekotano

あけましておめでとうございます。
今年も無事に、おせちを作って食べることができました。よかった…。
今年もどうぞよろしくお願いします。

以下は、追記です。来年用にメモ…。

● 一の重
八幡巻 A
きんとん A
数の子 (干し数の子/ 塩漬け数の子) A
かまぼこ (山上蒲鉾店の「極(赤)」
玉子焼き (松露
昆布巻 (ソフト鰊 / たらこ) A
田作り A
れんこんの炒め煮 A
叩きごぼう A
五色なます B
黒豆 B

● 二の重
黄金くわい B
八つ頭の含め煮 B
椎茸の煮しめ B
日の出人参 B
ごぼうの煮しめ B
粟麩の煮しめ C

● 珍味
お刺身(たこ、本まぐろ赤身2種)
蒸しあわび B
合鴨の照り煮 B

今年参考にした本も、ほぼ例年通り。A「有元家のおせち25品」(有元葉子)、B「祝いの料理」(土井義晴)、C「きょうの料理 2006年12月号」(村田吉弘の基本のおせち)。有元さんのおせち本は、甘みはほぼメープルシロップを使用している新版よりも、みりんを使用している旧版のほうが好みです。ただ、八幡巻だけは、新版で紹介している手順のほうが作りやすいので、そちらを参照しました。

今年の新顔は、五色なます、合鴨の照り煮、粟麩の煮しめ、です。どれもすごくよかったです。たぶん、来年も作ります。

例年、なますは持て余し気味なので、お試しがてらに五色なますを作ってみたのですが、こっちの方が好みでした。いわゆる炒めなますですが、レシピ通りだと二杯酢を使いますが、土佐酢にしました。ガチガチに酸っぱいのは苦手なので、ちょうど良かったです。ただし、味がなじむまでに一昼夜かかったので、早めに作るのがいいのかも。

粟麩の煮しめは、これも物は試しと作ってみたのですが、もんのすごくよかった。揚げてから煮るので、味なじみがよい。めんどくさがらずに揚げるべきだな、と。煮しめはこれだけ、村田吉弘さんのレシピで作りましたが、いい味付けだったので、来年は煮しめ全部をこのレシピで作ろうかな、と今のところは思ってます。

正月と言えば、わたしにとっては、やっぱり鶏肉だろう…という気持ちがあるのですが、夫が一切手を付けないので、今年は思い切って鴨ロースにチャレンジしてみました。脂がスゲェ…と思いましたが、思ったほど難しくなく、しかも夫も喜んで食べていたので(結構レアに作ったのに)、ナイスでした。よかったよかった。和辛子と実山椒のしょうゆ漬けを添えましたが、いい感じ。

反省点は多々ありますが、筆頭は昆布巻の昆布を真昆布で作ったことでしょうか。柔らかい仕上がりのほうが好みなので、やっぱり日高にしようと思いました。ほか、叩きごぼうをゆですぎたこと。夫が「今年は酸っぱい」というのですが、理由はごぼうをゆですぎたからとしか思い当たりません。ごま酢が染み込み過ぎたのね…。八幡巻の具を下煮する際、味付けするのを忘れたのも失敗のひとつかな。うっかりミス。あとは、煮しめ用に買っておいたこんにゃくを忘れた。大晦日に気づいたんだけど、「もう知らん」と無視してしまった。なので今年の煮しめは6品になってしまい、マズイなぁ、と。来年はちゃんと奇数にしよう…。

今年抜群に上手にできた! と思ったのは、黒豆、きんとん、八つ頭。きんとんと八つ頭に関しては、よくできた理由はひとつしかなく、それは「豪快に皮をむくこと」でした。6回目のおせち作りにしてつかんだコツがそんなこと…ってのも情けない話ですが、年に1回しか作らないのだからしょうがない。黒豆に関しては、土鍋とストーブがある限り、もう大丈夫だと確信しました。逆に言えば、この2つがないと上手に作れないわけですが、まぁ当分は大丈夫でしょう…。

これをせっせと食べて、テレビ見ながらソファで寝落ち。文字通りの寝正月でした。