お弁当

吉例顔見世歌舞伎の昼の回に行ってきました。今日の演目は、「研辰の討たれ」「関三奴」「梅雨小袖昔八丈(髪結新三)」の3本。やはり一番印象深かったのは、初めて見た「研辰の討たれ」です。なんとなく新作歌舞伎っぽいイメージが強いのですが、少し前に『研辰の系譜』という本を読んでいて、もともとは実際に起きた仇討ち事件が元に江戸時代に作られた作品があり、それ以降「研辰もの」といわれる作品群がたくさん作られたそうです。

今回上演されるのは、それらを基に木村錦花が大正14年に執筆したもので、歌舞伎というより現代劇といった方がいい筋書となっています。実際見てみると、思っていた以上に現代劇でした。テーマ性があって、見る人によって解釈が異なるストーリーになっている。終始笑いでくるまれていたけれど、それだけに、最後の気持ち悪さが余計に引き立ちました(私は見てないんですが、その気持ち悪さをクローズアップしたのが「野田版 研辰の討たれ」だそうです)。幸四郎さんのケレンの強い演技がよくハマっていて、面白かったです。

ところで、同時代の作家において「仇討ち」というのは、興味をそそられるテーマだったそうですが、中でも菊池寛は特にご執心で、仇討ちに関する小説をたくさん書いているそうです。『恩讐の彼方に』しか知らなかったですが、ズバリ「研辰…」的な話もあるそうで、今度読んでみようかなぁと思いました。

「髪結新三」の面白さは当然のもので、見せてくれてありがとうと言うしかないわけです。菊五郎と左團次で、面白くないわけがない。

お弁当は、ご飯に海苔をしいて、肉豆腐。

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