カテゴリー別アーカイブ: 歌舞伎の日

コンビニ弁当

二月大歌舞伎の夜の回を見に行っていました。今月は昼夜とも十三世片岡仁左衛門二十七回忌の追善興行と銘打たれており、松島屋三兄弟が全員出演し、十三世にちなんだ演目が上演されています。改めて演目を見返しても珠玉のラインナップ。

夜の回は、八陣守護城と、道行故郷の初雪が追善興行の演目となっており、前者は我當さんが、後者は秀太郎さんが出演して、いずれも眼福でした。他は、玉三郎さんと勘九郎さんの羽衣に、音羽屋の文七元結でいうことなし。私は菊五郎さんの文七元結が大好きなのですが、今回も素晴らしかった。本所大川端の場の最後のシーン、何度見ても良い。お兼が雀右衛門さんでしたが、思いのほか似合っていて良かった。

ギリギリに駆け込んだので、幕間弁当はコンビニで調達。小さいながら、案外肉々しい弁当で、見た目よりも結構なボリュームがありました。

2月は毎年、地下の木挽町広場や歌舞伎座の3階売店の脇に地口行灯が飾られているのですが、私が一番好きな地口はこれ。これぐらいのんきに過ごしたい。

側面には、「火廻要鎮」。普通に入力したら出てこない。

帰宅して、買ってきたアサリの佃煮で、早速一杯。見た目真っ黒でものすごくしょっぱそうに見えるんだけど、実際塩辛いっちゃ塩辛いんだけど、いやな辛さじゃないのだ。とてもおいしいです。

お弁当

二月大歌舞伎の昼の回を観に行っていました。菅原伝授手習鑑の、加茂堤、筆法伝授、道明寺で、有名な「菅原…」の中でもめったにかからない演目なので、心して観に行きました。

めったにかからないのは、演じられる人が現在は仁左衛門さんしかいないからで(特に道明寺)、実際にものすごく神々しい舞台でした(息を凝らして観る人が多いからか、劇場全体の緊張感というか静寂もすごかった)。もちろんそのうち他の方もやられるとは思うんですが、絶対あと20年くらいは仁左衛門さんと比べられるはずなので、そう考えると、もうお目にかかれない演目なのかもしれない…などと思ってしまいました。

お弁当は、太巻きの具を刻んで混ぜたちらしずし風。デザート代わりに金柑を添える。金柑って、お弁当にちょうどいいなぁ。

しかしね、本当に、神々しかったですね。ポスター売ればいいのに、と思いました。

ビゴのパン

東劇にシネマ歌舞伎「廓文章」を観に行く。

ラッキーなことに仁左衛門の廓文章は生でも見てますが、生で見ているからこその、映像のありがたさ…。映像を見ながら、過去に観た舞台を脳内で再生しつつ観ることで、何とも贅沢な気分を味わいました。

帰りにマロニエゲートのビゴの店に寄って、クロワッサンとカスクート。クロワッサンもおいしいんですが、カスクートのシンプルイズベストなおいしさがまた、いいんですよね。

1月の頭から国際ニュースやネットで見てきたコロナウイルスのニュースだけど、今日とうとうWHOがパンミックと認定し、国際的な緊急事態だと宣言したとの報道があった。数年前のSARSを思い起こすけど、一体どうなるのか。

ヨーロッパ軒

京王百貨店の催事「福井県 越前・若狭の物産と観光展」に、ヨーロッパ軒がイートインでやってくると知って、夫と一緒に食べに行く。

ソースカツ丼ってあんなにおいしいのに、東京だとなかなか食べられないので、こういう機会は貴重。しかも、かねてより行ってみたいなぁと思っていた、ヨーロッパ軒なので、なお嬉しい。

本当はもうちょっと後ろの時間で食べたかったのだけど、昼時の混雑には遭遇したくないという夫の強い希望により、10時半に昼食と相成った。さすがに朝からカツ丼という客は少なく、人もまばらなイートイン会場で、しんみりと待つ。イートイン会場には、越前そばの店も出店しており、そばとのセットもあったが、もちろんカツ丼オンリーで。

ほどなく、レトロな蓋つき丼で供されて、ウキウキしながら蓋を開くと、蒸気で蒸されたカツがどんと目に入って気分が上がります。ソースはウスターっぽいんだけど、ソースというよりも、しょうゆっぽいというか、甘口なんだけど、ご飯に合う味。パン粉がものすごく細かくて(この後、パお店で使っているパン粉が売られていたので買ったのだけど、粉? と思ってしまうくらい細かかった)、薄付きなので、ソースとの絡みが程よくて、さっぱり食べれていいです。おいしかったなぁ。

ただ、食べ終わってつくづく思ったのだけど、私、ソースカツ丼だったら、新潟のとんかつ太郎のほうが好みの味かも。だからと言って、ヨーロッパ軒のがおいしくないとか、もう食べないとか、そんなことは絶対なく(来年も来てくれるのなら絶対に食べに行く)、ほぼ同じような料理なのに、それぞれ味わいは異なるのが、面白いなぁと思ったのでした。

この後、夫と別れて国立劇場に移動し、恒例の音羽屋正月公演を観に行く。今年は「菊一座令和仇討」というもので、南北の曽我物をアレンジしたものだそう。正月らしい趣向を沢山盛り込んだ、楽しい芝居でした。もうすでに1月もほぼ終わりという時期なのですが、役者の皆さんが揃って「おめでとうございます」というのを観るのは、やはり良いものだなぁとつくづく思った。

松竹も国立も、1月公演は、ロビーをお正月らしい趣向で飾ってくれているのだけど、国立だと例年吉徳の飾り羽子板が飾られていて、幕間に眺めるのは、結構楽しい。

羽子板だけ見て、元ネタが分かるとかっこいいのだろうけど、私は2/3くらいかな。もう少し真面目に観よ…と毎年思うのだけど、どうだかな。

とり御飯

京王駅弁大会で駅弁を調達した後、寿新春大歌舞伎の昼の回へ。

正直に言うと、吉右衛門が出る素襖落だけ見られればそれでよかったのだけど、それだけ見て帰る…なんてことは、やっぱり私にはできない…。素直に、醍醐の花見、奥州安達原(袖萩祭文)、素襖落、そして河内山と全部観る。観終われば、ああやっぱり全部観てよかった…と思うのでした。

幕間に食べたのは、松浦商店の「復刻 とり御飯」。現在は、「天下とり御飯」という名前で販売されているロングセラー駅弁で、小松左京氏がお気に入りだったことでも、知られているそうです(小松左京ライブラリ)。

後日読んでみましたが、『首都消失』の冒頭に、主人公が名古屋から東京に向かう新幹線の中で、脳内でつぶやきながら食べるシーンで登場していました(井之頭ゴローさん状態)。全然本編と関係ないトピックなのに、結構なボリュームを割かれていて、ちょっと笑っちゃいました。でも、自分の好きなものは語りたいというのも、なんか、分かる。

ちなみに、今回の京王駅弁大会の対決企画では、オリンピックイヤーということで、昭和39年とか金とかメダルにちなんだテーマで展開しており、今回の昭和39年当時の駅弁を復刻させているそうです。だから今売られている「天下とり御飯」とは、おかずの中身が大分違いました。

こちらの記事によると、チューリップを再現するのが一番難しかったそうで、確かに、今って、チューリップって売ってないもんなぁ…と思いながら、ありがたく頂いたのでした。

スープで炊いたご飯にちょっと甘い玉子そぼろがよく合って美味しかったです。おかずも、チューリップにチキンカツ、チキンロールととりづくしで豪華だし、甘い酸っぱいの副菜も揃えて、バランスのいいお弁当でした。

コンビニのいなりずし

国立劇場で行われた、第25回伝統歌舞伎保存会研修発表会を観に行ってきました。普段は、歌舞伎座と国立劇場で上演される歌舞伎公演を観ていますが、実は、歌舞伎ってそれだけじゃなかったりします。南座とか大阪松竹座以外にも、例えば、赤坂ACTシアターや明治座、文化村といった、普段は現代劇を上演する劇場でも、歌舞伎公演が行われることがありますし、巡業で各地の市町村のホールで上演されることもあります。また、役者さんの自主公演や、今日のような研修発表会も結構あります。

意外とあちこちでやっているのよねーと言いつつも、実際のところは、こういう公演は1日限りや、やっても数日程度だし、会場も小さめのところが多いし、いわゆる後援会に入っていたり、関係者の方が観に行くものなので、逆にチケットは取りにくかったりします。ただ、これは、伝統歌舞伎保存会という無形文化財としての歌舞伎の技術を持つ人たちで構成されている文科省認定の業界団体が主催する研修発表会なので、私のような門外漢でも、比較的チケットは取りやすいのが、ありがたいところです。とはいえ、この公演もやっぱり発売開始数時間で売り切れてしまうので、私も行くのは今年が初めてだったりします。

ちょっとしっかりご飯を食べるというタイムスケジュールじゃなかったので、コンビニのおいなりさん3個入りで、簡単に済ませる。

席は全席自由席で早く来た人から自由に座れる仕組みですが、いわゆる「いい席」の一部は、関係者席としてキープされていましたし、毎年ご覧になっている常連さんが大半を占めている印象で、どの席に座るべきかは少し迷いました。最終的に、東寄りの席にちんまり座りましたが、小ホールだったので、どこに座ってもいい席なのはありがたい。普段3階席ばかりなので、1階席ということ自体が新鮮。

左手に花道がありますが、これは、本公演で上演していた「菊一座令和仇討」が両花道で上演していたからで、今回の演目では使われていません。

今回の演目は、「仮名手本忠臣蔵」の五段目(山崎街道鉄砲渡しの場、山崎街道二つ玉の場)と、 六段目(与市兵衛内勘平腹切の場)。その後、菊五郎一座によるトークショー「お楽しみ大喜利」の二本立てでした。一時期はやたらと仮名手本ばっかり観ている印象があったのですが、ふと気づくと、そういえば観てない。特に最近は新作ばかり見ていたこともあって、妙にこういうThe歌舞伎のような演目に飢えていたので、めっぽう面白かったです。幸い、国立劇場の仮名手本忠臣蔵の3か月通し上演を見たことがありますが、あれ、面白かったので、またやってくれないなぁ。

帰宅途中に、伊勢丹新宿店の地下に寄ったら、エルメの店でクロワッサンを売っていたので、2個買って帰る。

明日の朝用にと思っていたけど、夫が「すぐ食べる」というので、いつぞやのシチューと一緒に、早々に、簡単に晩ご飯にしてしまう。

コンビニ飯

新橋演舞場の初春歌舞伎公演の昼の部を見に行ってきました。ここ数年毎年新橋演舞場の正月公演は、成田屋がやっているんですが、今年もそうです。今年は昼夜で演目を変えているためどうしたもんかなーと悩みましたが、最終的に、新作歌舞伎が含まれる昼の回を見に行くことにしました。演目は、金閣寺、御存鈴ヶ森、そして新作のNINJA KABUKI 雪蛍恋乃滝の3本。

金閣寺は、雪姫に孝太郎、あとは右團次、齊入、獅童、友右衛門、九團次、國矢なので、成田屋の公演にしては重厚感のある配役。鈴ヶ森は、海老蔵と、昨年末に襲名したばかりの莟玉のコンビで、ぴちぴちのフレッシュ感がちょっとお年玉っぽい感じ。

3本目の雪蛍恋乃滝なんですが、観る前から、色々覚悟していたので、逆に、思ったよりは面白く観られた…というのが正直な感想でした。そう思った理由のひとつが、作演出が秋元康だったからなんですが、実際危惧した通り、歌舞伎というよりも、ショーって感じでした。ショーだと思えば面白い。でも、あれは歌舞伎じゃないなぁ…と思ったのが正直なところ。歌舞伎役者がやったら何でも歌舞伎だよという言葉がありますが、これに限ってはどうも、そうじゃないような気がします。こういうの、ガイジンは好きでしょ、って感じが前面に出ていて、これをオリンピックの開会式でやられたら、何かヤダなー、と思ったのでした。

幕間は、コンビニのおにぎり(ローソンの金しゃりおにぎり)で簡単に。どっちも魚卵になっちゃったけど、まぁいいか。

お弁当

寿初春大歌舞伎の夜の回を見に行っていました。これが今年の観劇始め。お弁当は、煮しめの材料を細かく刻んで、薄焼き卵を焼いたのを加えて、簡単酢飯と併せて、ちらしずし風に。なかなかおいしい。

演目は、義経腰越状 五斗三番叟、連獅子、鰯賣戀曳網の3本。連獅子は、猿之助と團子のコンビで、なんていうかすごくうまい。ただ、今の技術云々というよりも、これからの可能性が見える…みたいな、キラキラした感じが発散されていて、それがまぶしいなぁと思いました。若いって無条件にええのよ。でも、その良さとか価値を知るのは、若くなくなってからなんだよなぁ。

実は一番楽しみにしていたのは、鰯賣…だったんですが、今回も実によかったです。何ともかわいらしい話で、演者がかわいくないと、面白くない。やっぱりこの芝居は、中村屋の専売特許かなと思いました。

お正月なので、あちこちに正月飾り。立派な鏡餅だけど、この餅は、どうなるのだろう…と、ちょっと疑問に思ったり。

餅花飾りって、華やかで素敵なんだけど、そもそもはどこの風習なんだろう。

帰宅したらお腹が空いてしまい、駅のC&Cで温玉乗せカレーを食べる。

肉まん

12月大歌舞伎の夜の回に行ってきました。演目は、「心霊矢口渡」と、玉様の新作歌舞伎「本朝白雪姫譚話」。

「心霊矢口渡」ですけど、この記事よんだら、もともとは現在の大田区矢口にある新田神社が参拝客の減少に悩んで、地域振興を兼ねて神社を舞台にした芝居を書いて欲しいと平賀源内に頼んで書いてもらったのがこのお芝居だそうで、この記事を書いたおくださんも「現在の大河ドラマみたいだ」と書いてますけど、まさにそうだなと。

それを知って見るとちょいちょい神社推しみたいなシーンもあって面白いんですけど、話も面白いんですよね。というか、悲しい話で、歌舞伎で片思いをする人は、ほぼ死ぬか出家するかなんだよなぁと思ってしまう。うまいこと行くのは高貴な人だけなのよね。

お父さん(頓兵衛)の強欲さが見どころなので、いやらしい演技がうまい人にやって欲しいのですが、松緑さんは結構合っていると思う。梅枝さんの哀れさが引き立ってよかったです。

「本朝白雪姫譚話」なんですが、これはグリム童話を下敷きにした新作歌舞伎です。この12月は新作ラッシュで、新橋でナウシカ、国立でチャップリン、そして歌舞伎座が白雪姫、ということで、記憶に残る月だと思います。

ただ、新橋、国立の分かりやすさと比べると、これは難しかった。子役が歌うシーンがインパクトがあってそればっかりが印象に残ってしまうんですけど、よくよく話を追っていくと、美と若さの話なんですよね。それを女形がやっているところが、女優さんがやるのとは違うニュアンスが生まれる気がしましたが、あと2回ほど見ないと、このお芝居の真意はつかみにくい…という感想を持ってしまいました。歌舞伎観て、難しいなぁと思ったのは、猿之助さんの「空ヲ刻ム者」以来かもしれないなぁ。

幕間に持参の肉まんをかじって、今日のお弁当かわり。

肉まん1個ではとうてい持つわけなく、府中にたどり着いて、夫と待ち合わせしてサイゼリヤでちょいちょいおつまみ。辛味チキン、柔らか青豆の温サラダ、ポップコーンシュリンプ、グラスワイン(赤)。夫はバッファローモッツアレラのピザ、ドリンクバー。

空腹とジャンク欲が一気に満たされた。サイゼリヤはすごい。

おそば天かめ

国立劇場公演記録会に行く前に、半蔵門駅そばの天かめで、さくっと月見そば。あんまりカツオ臭くなくて、あっさりしたつゆ。麺の量も程よくてよし。周りはみんなかき揚げを頼んでいたので、今度は私もなんか揚げ物乗せようかな。

国立劇場の公演記録会って、毎月1回やっていて、無料なんですが、往復はがきで申し込む必要があるんです。定員120人くらいで、抽選じゃなくて先着だから、告知が出たらすぐに応募すれば当たるかな…と思って何度か申し込んでるんだけど、これが全然あたらないのよねー。

で、やっとこさひとつ当たって行ってみて、何となく納得したんだけど、めっちゃリタイア男女ばっかりなのだ。うん、たとえ数か月前に出していたとしても、これは負けるな…と思いました。よく考えたら、ここで上映されるものは、同じ建物(伝統芸能情報館)にある図書閲覧室でも見られるので、今度からは、それで見ることにしようかな…。

今日見たのは、昭和57年11月に上演された「彦山権現誓助劔」。38歳の吉右衛門さんと、40歳の菊五郎さんが六助とお園をやっていました。うわー、若い。歌舞伎だと、通常「毛谷村」しかかからなので(文楽だと全十一段のうちの九段目)、その前段(長門国吉岡一味斉屋敷、杉坂墓所)まで見られるのは新鮮でした。もうちょっと検索すると、昭和42(1967)年に、「周防国山口八幡宮」「長門国吉岡一味斉屋敷」「摂津国須磨浦返り討」「 山城国小栗栖瓢箪棚」「豊前国彦山杉坂墓所」「豊前国毛谷村六助住家(毛谷村)」「 豊前国小倉立浪主膳正本陣」まで上演する通し公演をしていて、楽しそうだけど、結局これも1回切りのようなので、歌舞伎でここまでやるのはあんまり需要がないんだな、とも思ってしまった。

調べていて結構ビックリしたんだけど、毛谷村ってのは、大分県中津市に実在する地名で、しかも六助の墓もちゃんとあるのでした。地図で見て見たら、大分山深い地域で、行ける気がしないけど、これから毛谷村を見る時は、ちょっと親近感がわきそうです。