徳島旅行(3日目)

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せっかくなので、少し早起きして、徳島中央公園まで散歩してみる。徳島城の石垣がかなりの距離で残っており、これだけでもかなり往時の雰囲気がしのばれます。阿波青石がみっしり積まれていて、美しい。街中同様、とても歩きやすい遊歩道が整備されていて、朝ランやウォーキングに励む市民の方が、結構おられました。

なんだか雰囲気のある崖やね…と思ったら、海蝕痕でした。山頂のほうは、未だに原生林が残っているそうです。ちょっとひっそりした雰囲気があって、よい感じなのです。

官公庁系のサイトに適切なページが見当たらなかったので、案内板の写真も貼っておく。

ん、何か、どぶ池のような生臭さが漂う…と思いつつ、見上げると、アオサギの大群が木に止まっていて驚いた。

私のスマホの性能ではこれが精いっぱいなんですが、肉眼で見ると結構な迫力。頻繁に飛び回っており、悠々と空を飛ぶアオサギの姿をたっぷり堪能できるのもとてもよい。繁殖期だったのか、幼鳥もちらほら見かけました(かわいい)。

ふいに視界が開けたと思ったら、川。助任川です。天気がいまいちなのでアレですが、非常に気持ちの良い景色です。ごく普通に水辺のある街って、ちょっとうらやましい。

給水栓ボックスも、阿波踊り。

「竜王さんのクス」という愛称を持つクスノキ。もう少し近寄って見てみたかったのですが、雨上がりで足元があまり良くなかったので断念。室戸台風で倒れてしまったのですが、なぜか伐採されず、そのまま放置されたおかげで、生き残った一部が枝をのばし、迫力ある姿になっています。

なかなか官公庁系のサイトにちゃんとした説明を掲載したものがないので、詳しい説明はここ人里の巨木たち)やここ巨樹と花のページ)を見るのが良さそう。この2つのサイトとも、ホームページの形態から判断するに、20~25年ほど続けれおられそうな雰囲気ですが、すごいなぁと思う。

徳島鉄道年表の碑。旅先では駅弁をチェックするのが楽しみなんですが、徳島って実は、駅弁業者のいない県なんですってね。これ知ったときにはびっくりしましたが、そもそも鉄道ファン的には、電車の走っていない県として知られているそうです(徳島駅には、JR四国の4路線が乗り入れているが、すべてディーゼル車)。

ちょっと街中を歩いてみた感触でも、長距離バスが日常的に活躍している雰囲気があって、本州の大都市行きの車両もたくさん見かけました。短距離の移動は自家用車が担っているでしょうし、電車の出番はあまりなさそうな気もします。

この隣には、8620型蒸気機関車が展示されていました(NHK新日本風土記アーカイブス「みちしる」で走っている姿が見られます)。昭和46年に廃止になって、ここで保存されているそうです。海蝕痕、貝塚、原生林、石垣、クス、蒸気機関車と、いろんなものがここに残されていて、この公園はタイムカプセルみたいな存在だなとも思いました。歩いていて、非常に楽しかったです。

本当は、城山の頂上、天守跡も見てみたかったんですが、時間切れ。朝ご飯を求めて、可否庵という喫茶店に向かいます(おでかけコロカルの記事はこちら)。そういえば、隣のしまだお好み焼き店もリストに入れていたお店のひとつなんですが、今回は寄れなかったなぁ。

店内に入ると、常連さんと思しき方がふたりほど。でも、一見の旅行者でも入りやすい雰囲気です。一応確認しましたが、奥のテーブル席に座ってゆっくり食事できました。モーニングメニューも色々あって少し悩みましたが、トーストセットで。バタートーストも、サラダも、コーヒーも、全部おいしかった。

パンは、地元の人気店O-ba’sh crust(オーバッシュクラスト)というお店のものだそうですが、パン自体とてもおいしい。焼き加減も素晴らしく(この、切れ目を入れてくれているのがすごくいい)、厚切りのトーストも、ペロッと食べられました。

満腹になったし、もう十分、あちこち出かけた気分になりましたが、実際は今日の本番はここから。今日は1日、大塚国際美術館で過ごすのです。というか、今回の徳島行きは、「フェリーで徳島に行って、大塚国際美術館に行く」のが最大の目的だったので。逆に言うと、それ以外、徳島に行って何をする? というのが、思い浮かばなかった…というのもあります。

徳島まで来てみると、いろいろ見るところもあるなぁというのも分かったんですが、東京でプランを練っている間には気づけなかったです。旅行プランを練るのって、難しい。

徳島駅から大塚国際美術館へは、路線バスで行くのが基本なんですが、オープンは9時半なのに、平日の始発は9時(片道90分ほどかかる)。ということで、電車で行くことに。所要時間はあまり変わらないものの、開館時間に合わせて出発できるのは大きい。おかげで、四国で初めて電車(正確には列車)に乗ることが出来ました。軽く乗り鉄なので、嬉しい。

徳島駅から鳴門駅までは、鳴門線で1本。正確には、徳島駅から勝瑞駅までは高徳線だが、鳴門線がほぼ全線乗り入れしているので、池谷駅で乗り換えすることなく1本で行ける。勝手なイメージで、東京ほど混雑電車じゃないだろうと気楽に乗り込んだら、ちょうど通学時間帯だったようで、かなりの満員電車。ほぼ全員が熱心に教科書やノートを読んでいたので、どうやらテスト期間中だったようです。ほとんどの学生さんが勝瑞駅で降りたので、徳島北高校の学生さんだったのかな。

1時間ほど揺られて、鳴門駅に到着。終着駅を示すマークの付いた車止めがあったので、何となく撮影(六角さんの真似)。

ここから徳島バスに乗り換えて、大塚国際美術館前まで。土地勘が全くないので、隣の市でしょと、徳島市から鳴門市までの移動を甘く見ていたんですが、電車だけで1時間。バスは20分ほどですが、バス待ち時間を含めると30分ほどかかるわけで、ざっくり1時間半。

そういえば、最初は鳴門駅前のバス停で待っていたんだけど、ただ待つのに飽きた夫が、少し歩いたところにある鳴門郵便局前のバス停から乗れば、ここより一足早くバスに乗れるぞと言い出して、地味に暑い中をふらふらと歩いて移動。実際、駅前で待っていた人達よりも早く乗れたのですが、駅前から乗り込んでくる人もさほど多くはなかったので、そのまま駅前で待ってから乗っても、普通に座れた気がする。バスを待っている間に朝顔がきれいに撮れたので、よしとするか…。

天気は悪いけど、海沿いの道はやっぱり気持ちいい。大毛島に入ったら、いくつか大きなリゾートホテルがあって、ああそうか、大塚国際美術館をメインにするんだったら、この辺に泊まってもよかったのか、と気づいた。海岸もきれいだったし、大鳴門橋周辺に公園とかいろいろあるみたいだったし、のんびりできて良さそう。実際、この辺から乗り込んでくる団体がちらほら。

やっと、大塚国際美術館着。大型バスが何台も止まっており、色んなルートでお客さんがやってきているんだなぁと、ぼんやり思う。美術館の向かいに、竜宮城みたいな建物があって、何かしら? と思ったら、潮騒荘という建物で、もともとは大塚製薬の創業家の自邸で、現在は会社の迎賓館(社員用の保養所)として利用されているようです。ところで、検索していたら、この建物、別名「竜宮城」というらしいです。まさに。

この美術館は、地下3階、地上2階の5階建てですが(フロアマップ)、メイン施設はほぼすべて地下にあり、地上に出た部分はおまけみたいな構造になっています。本当はガツンと山の上に立てるつもりだったそうですが、景観条例か何かに引っかかって、ほぼすべての建物を山の中に作らざるを得なかったとのことです。それって、箱根のポーラ美術館に似てるなぁと思いました(ここも素敵な美術館です)。最初は、なんでこんな手間をかけてここに作るのかと疑問だったんですが、創業家にゆかりの土地に建てたかったんですね。それにしても、山をくりぬいて美術館を作るって、もう字面だけですごい。

正面玄関でチケットを買って、入場してすぐのところにある40mのエスカレーターを上って、まずはB3へ。真ん中に階段もありますが、当然、ここを上る人は皆無でした。入場したらすぐ地下3階って、不思議な感じがあります。

まずは、この美術館のアイコンともいえる、システィーナ礼拝堂がお出迎え。本物を見たことはないですが、なんというか凄い。圧倒される。ここだけで何十分も見入ってしまう。ここで毎年、システィーナ歌舞伎が上演されていますが、やっぱり一度くらいは観てみたいものだなぁ。

ここは、米津玄師が2018年の紅白で生中継で歌った場所でもあるそうで、その時の記念パネルも。

大塚国際美術館は、いくつか実際に行った人のブログなどを見ていて、「ガイドツアーで回ったほうがいい」というアドバイスがあったので、まず最初は2時間のツアーでざっくりひとまわり(定時ガイドの案内)。

結論として、絶対ツアーで回ったほうがいい。無料だし。とにかく点数が多いのでさっくり見てしまいがちなので、ツアーはほんとにありがたかった。体力のない私は、「最後の晩餐」あたりに到着した時はすでにヘロヘロで、ガイドさんがいなかったらもっと雑に見ていたはず…(「最後の晩餐」は、修復前と後を向かい合って展示しており、見比べると大変面白いです)。

陶板なので写真撮り放題だし(撮りまくった)、有名なもの、貴重なものはすべて収集(制作?)するぞという貪欲なコレクション内容なので、普通の美術館よりもラフに楽しめる感じでとてもよかったです。数年前にこの美術館の存在を知ったときは「超メジャーな絵画の原寸大の偽物を1000点以上並べた美術館」という紹介のされ方だったので、「何のギャグ?」と思ったものですが、実際に行ってみると、陶板の再現力はすごいし、大真面目な美術館でした。なお、休日だと、企画性の高いものや、美術評論家さんがガイドしてくれるツアーもあります(事前予約制)。それもちょっと参加してみたかったな。

ツアーを終えて、お昼ごはん。ご飯が食べられるところは3か所あるけど、一番、食堂っぽい食事が食べられる「カフェ・ド・ジヴェルニー」で。私は、何となく鳴門っぽいイメージを求めて鯛炙り丼、夫はヴィーナスカレー(シーフードカレー)。夫のカレーの器はホタテ貝型で、それはまさに、アレ(ヴィーナスの誕生)ですな…。器のインパクトが結構強くて、カレーを頼んだ人はたいてい最初にこれを見て、ふふっと笑っていたのが、ちょっと面白かった。

こういう施設のご飯というのは、高いだけであまり…というイメージがあるんですが、ところがどっこい、両方とも程よい価格でなかなかおいしくて、私の中で大塚製薬のイメージが上昇。我ながらちょろい奴。

少し休憩して、今度は改めてじっくり見て回った後に、再び、「カフェ・ド・ジヴェルニー」で休憩。モネの池を眺めながら、モネの「水連:緑のハーモニー」をイメージした、完熟メロンのハーモニーパフェ。このパフェは、かなりおいしかったですよ。おかげで、私の中で、大塚製薬のイメージが…(以下略)。

一応、まわれるところは全部回ったつもりなんですが、さすが全部見ると4キロ歩くことになるというだけあって、最後はバテバテ。見終わって、余裕があったら、鳴門の渦潮も見たいななんて思っていたんだけど、体力的にも時間的にも無理でした。あと、お庭が気持ち良い空間なんだそうですが、天気が悪かったので出られずに、ちょっとそれが残念でした。今度行くときは、鳴門周辺で宿をとって楽しみたいです。

また2時間近くかけて、徳島駅前のホテルに戻り、3つ目のミッションにしていた「鳴ちゅるうどん(なるちゅるうどん)」を求めて、駅前をふらふら。早く気づけよって話なんですが、鳴ちゅるうどんって、実は鳴門市のご当地グルメ。徳島市内もないわけじゃないけど、少ない。

駅前のそごう(アミコ)の地下に、舩本うどんの支店があることが分かったので、そこで晩ご飯。鳴門うどんにわかめトッピング。

うー、これ、すごく好きだな。やわらかくて不揃いで平べったい手打ち麺、あっさり澄んだお出しに、刻み揚げとネギ少々。優しい味で、身体に染みる。私、麺にコシはそんなにいらないタイプなので、このうどんはかなり好き。おいしいわー、毎日でもいいなー。

阿波踊り会館で阿波踊りの夜の公演を見に行くというチョイスもあったのですが、体力的に無理そうだったので、そごうのデパ地下でちょっとお惣菜を物色して、ホテルでゆっくり。

夫がわざわざ見晴らしのいい部屋を指定して取ってくれていたので(結婚記念のお祝いを兼ねての旅行なので、少し奮発してくれたようです)、カーテンをあけるとぐるりと駅前が見渡せて、ちょっといい感じなのです。ありがとう、夫。向かいに見える駅ビルの屋上のビヤガーデンが大盛況で、夏なんだなぁと思いました。

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