お弁当

七月大歌舞伎の夜の部を見に行ってきました。演目は、通し狂言「星合世十三團」。別外題に「成田千本桜」とあるように、義経千本桜を一気にダイジェストで見せちゃうぞという、今までありそうでなかったような舞台です。しかも、海老蔵さんが13役の早変わり。もともと、四の切や、すし屋、渡海屋・大物浦など、義経千本桜は好きなお芝居なので、どんな感じになるのかなーという興味いっぱいで、見に行ったのでした。

13役というても、あれやろ、一部はちょいとやるくらいで数を稼いでって感じなのでは…と思っていたのですが、ほとんどの役をがっつり演じられていて、どう考えてもニンじゃない女形の役(卿の前)までこなしていたのには驚きました。しかも、しんどい早変わりを何度もこなしていて、出ずっぱり。普通、1幕はちょっと外側のストーリーを流したりして、少し休む時間を稼いだりするものだと思うのですが、ホントにずっと出ていたので、最後は、体力のほうが心配になってしまった(周囲にも同じことを言っている人が何人かいた)。実際、中日から4日ほどドクターストップで休演されていたけど、あの舞台観たらむべなるかな…と思う。観る方としては、極上のエンタメで、非常に楽しかったです。ストーリーもすっきり整理されていて、初めて見る方にも、楽しんでもらえる入り口的な作品だったと思います。無理して13役でやることないから、普通に、主演を13人たてて、巡業でやったらええやん…と思ってしまいました。

13役もやるから、合っている役も、合ってない役もいろいろでしたが、意外だったのは、いがみの権太がよかったです。あと、銀平実は知盛は合っているだろうなーと思いつつ、実際、良く似合っていました。今度は、渡海屋・大物浦だけで、きちんと古典でやればいいのに。で、私は歌舞伎しか見ないので、大物浦のラストは、知盛は碇を担いで海の底に沈むだけで終わるというパターンしか知らないのですが、今回は亡霊になって天に上るというシーンがありました。何なのかなーと思って、帰宅してから調べると、能の「船弁慶」のイメージを拝借しているようです。ただ、お能でも、知盛の魂が浄化されて天に召されるという感じではないようなので、ここは今回、新しく作られたシーンなのかな。ドラマチックな演出で、印象深いシーンでした。

しかし、4時半から始まって、終わったのが9時28分(これでも、最初の数日に比べるとだいぶ短縮されている)。幕間が1時間弱あるんですが、しかし、ここまで長いのは初めてでしたが、とくに中盤ダレるところもなく、終始楽しかったです。

お弁当は、とりあえず、残り物を突っ込んで。玄米ご飯に、パイカと大根の煮物、レタスとかにかまのサラダ、わかめのポン酢和え。

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