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鯨カツ弁当と天草大王

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今日も駅弁大会に寄って帰宅。私の周り方は、まず、お菓子のコーナーをチェックしてから、次に、輸送駅弁をぐるりと3周。1個買ったら、対面駅弁を順番に見て回る。対面でいいのかがなければ、また輸送駅弁のコーナーに戻る…。

今日は輸送駅弁であんまりいいのが見当たらなくて、八代駅の「天草大王弁当」(頼藤商店)が最後の1個だったので、まずそれ。夫は、とりあえず駅弁で迷ったら鶏肉の弁当をチョイスすることが多いので、これは夫用(夫曰く、鶏の弁当が一番ハズレが少ない気がする、とな)。これ書いていて気づいたが、このお弁当も、「鮎屋三代」の頼藤商店のだったのですね。どおりで気の利いた中身なわけです。

私は、対面販売から、長崎駅の「ながさき鯨カツ弁当」(くらさき)。鯨のカツと唐揚げとそぼろが乗ったお弁当。永楽屋さんの風呂敷が付いたバージョンもあるのですが、さすがに、昨日弁当箱付きのお弁当を買っているので、今日はお弁当オンリーで。ほんのり甘く味付けされた鯨が、ご飯によく合って、美味しかったです。

どっちも九州の駅弁なので、お酒も九州のにすべきだったんでしょうが、今日のお酒は秋田ので(飛良泉)。駅弁とお酒って相性がいいです。

パイコー弁当と鱒寿し

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今日から、京王百貨店(新宿店)の駅弁大会が始まっています。たまたま、昨年初めて寄ってみたのですが、案外楽しかったので、今年は初日から寄ってみる。とはいえ、行けるのは夕方なのだから、整理券のいる弁当は買えないし、行列の実演弁当を買うのも現実的ではない。残っている輸送弁当の中から出たとこ勝負するか…くらいの気楽さで寄る。

すごく驚いたのは、今年の目玉駅弁のひとつ(だと思っていた)台湾鉄道の駅弁が、山ほど残っていたこと。整理券がないと買えない…と思っていたので、これは嬉しい…(でも、朝早く来て整理券を貰ってから買った人はちょっとかわいそうです…)。折角なので、記念弁当箱&弁当袋付きのモノをチョイス。弁当箱と書きましたが、中の説明書をよく見ると、積極的には食品用には推奨しない…みたいな感じのことが書かれていて、弁当には使えないのか…と少しがっかり(食品用に使うには、かなり丁寧に洗浄・消毒してから使わないとダメなようです)。でも、いい。可愛いから。めいっぱい詰めると、結構なドカ弁になりそうですが、そのうち1回くらいは使ってみたいです。

お弁当は「排骨便當」という、台湾鉄道の駅弁の中では一番オーソドックスなもの(のようです)。ご飯の上に、ほんのり八角の香る豚カツ、人参入りの練り物、刻みたくあん、高菜漬けが乗っていて、ボリュームだけでなく、見た目(色味)にも食感にも気を配った、心憎い弁当でした。レシピを提供して貰って、製造は日本で行われているものなので、本場のとはほんのちょっと違うのかもしれませんが、勿論美味しかったです。

台湾が好きな人って、周囲に結構いるのですが、弁当を食べてようやくわたしも少し興味が湧いてきました。機会があれば行ってみようかなぁ。

あとは、輸送駅弁から、日光鱒寿し(日光鱒鮨本舗)。以前に日光に行ったときに買いたいな…と思って、買いそびれたので、これまたちょっと嬉しい。っていうか、パッケージがすごくレトロで可愛くて、一枚剥がすごとになんだかテンションが上がった。テンション上がりすぎて、包みを剥がすごとに一眼レフで撮影してみたんだけど、後で見返したらたぶん「なんじゃい、これは」という写真なんだろうな…。

見た目よりもしっかりしめた鱒を使っていたけど、上品な酸味でしみじみ美味しい。これを旅先で食べるのは無理だから、駅弁大会で買えて良かったな。今度は、同じ会社の姫寿しも食べてみたいです。

駅弁とワンカップ

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大宮駅で少しのんびりしたとはいえ、8時には帰宅。そこそこ旅行の回数を重ねるとものぐさ夫婦も少しは賢くなるもので、帰宅したら、まずはさておき、着替えと荷物整理をしてしまう習慣が付きました。

全部片付けて、着替えもして、さっぱりしてからようやく最後の駅弁タイム。直江津を離れる際にホテルハイマートで受け取った、「鮭めし」と「するてん」。色々食べたけど、最終的には、我が家では、「鱈めし」「鮭めし」「するてん」が1番のお気に入りだと言うことが分かったのでした。なお、ハイマートの駅弁は、ホテルと直江津駅だけでなく、上越妙高駅内の駅弁屋(山崎屋)でも販売しています。皆様も、北陸新幹線に乗った際にはぜひお試しを。美味しいよー。

駅弁のお供に鮎正宗の鮎カップ(鮎正宗の普通種)。

私は、いろいろこんまいものをちまちま集めるのが好きなタチなのですが、ここ数年、こそこそと続けている収集品の一つに、ワンカップがあります。柄が可愛いからというのが第一ですが、もともとお酒が好きで、色んな種類を飲んでみたいけど、でもそんなに強くない私にとっては、うってつけのお土産なのです。

無地のガラスカップにラベルを貼ったものは不可、ガラスに直接プリントしてあるものだけに絞って集めているのですが、意外とこの条件厳しいようで(やっぱり、直接プリントしてあるカップって単価が高いんでしょうね)、ここ5年ほどで20個ちょっとしかないのですが、しかし、かなりしまう場所に困るようになってきました(何とかせねば…)。

鮎正宗の鮎カップは、時々購入する日本酒のネットショップで扱っていて、買ってしまおうか、どうしようかと数年悩んでいたブツのひとつだったので、直江津の商店街の酒屋で見つけた際に即買い。現地で買うことにこだわりがあるわけじゃないですが、まぁ、直接買えるならそれに越したことはないよね、とは思います。清流を泳ぐ鮎の絵が、爽やかな印象。味もそのイメージ通りにすっきりしており、瓶で買ってもすぐに呑み切れそう。するてんのお供にも最高で、楽しい旅を反芻しながらの晩ご飯でした。

これだけ休むと、明日はもう会社かよ、だるいなーという気持ちもなくはないものの、さぁ頑張りますかという気持ちのほうが強く出る。やっぱり、しっかり休むって大事だなぁ。

上越方面へ旅に行っていました(3日目)

最近は旅行と言っても1泊がほとんどで、ときには日帰りで済ませてしまうこともままあるなかで(昨年の八戸日帰り旅行[]は私の中では伝説)、2泊となるとなかなかに贅沢な気分。十分に中年と言われる年齢になってみてようやく実感するのですが、「自由時間が沢山ある」ということは最大の贅沢だよな…とつくづく思います。

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我が家は朝4時起床なので、基本、旅行先でもその時間に起きます。朝食はまだだし、やることもないので街中を歩く。ちょうど、「旅情のまち 日本海・直江津 まちあるきガイドマップ」というパンフレット(地図)を貰っていたので、せっかくだから、お勧めの見所を順に廻ってみることに。

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直江津はもともと砂丘を固めて作った街だそうで、海辺に向かうにつれて登り坂になっています。ならさずにあるがままに固めた土地の上に街を作っているので、起伏が多く、道の入り組み方が複雑。不思議に人の気配もあまり感じられなかったため、白昼夢の中にいるような…そんな雰囲気に満ちていました。

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直江津の1番のシンボルとも言えるのが、旧直江津銀行前のライオン像だと思います。直江津銀行自体は、明治43年に取り付け騒ぎを起こし、大正4年には解散していて、それ以降建物は地元の実業家に買い取られて近年まで事務所として使用されていたそうです。

このライオン像、確かにかなりフォトジェニックで、どう撮ってもそこそこサマになる。市のホームページによると、建物を買い取った高橋達太氏が日本橋三越前のライオン像を真似て造ってと注文して作らせたものとありました。三越でライオン像がお披露目されたのが大正3年、高橋氏が直江津銀行を買い取ったのが大正7年頃という話なので、「三越=ライオン」のイメージはすでに当時相当広く知られていたのでしょうね。
せっかくなので、日本橋三越のライオン像は誰が造ったのかな? と調べてみると、当時の三越支配人・日比翁助がイギリス視察旅行の際にトラファルガー広場のライオン像をモデルに、イギリスで作らせたものなのだそうです。そういえば、わたくしは大昔にトラファルガー広場に行ったことがあるので、このライオン像も写真に撮っているはずなのですが、今はどこにあるのやら…。それはさておき、トラファルガー広場、日本橋三越、直江津銀行と、3つを見比べてみると、少しずつ違うのが面白いなぁと思います。

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しかし、この建物、相当に和洋折衷。洋館の上に瓦葺き。イニシャル入りの飾り瓦がモダンです。
また、煉瓦造りの建物というか、煉瓦の壁も直江津のモニュメントのひとつ(元々は建物だったけど朽ちてしまって壁だけが残っている)。直江津の街は常に海風が吹くため、ひとたび失火があるとあっという間に街中を焼き尽くされてしまうというデメリットを持っています。そのため、明治以降になると、経済的余裕のあるところは煉瓦造りの建物や煉瓦の防火壁などを作ったそうで、街中にはその残骸がちらほらと見られます。

こんなあれこれを見ながら1時間ほどぶらぶらしてホテルに帰還。朝食を食べて、予約した駅弁を引き取って、チェックアウト。最終日の最後の目的地、春日山城(跡)へ向かいます。

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まぁ、なんとも、不便なところにある城で…(便利なところにある城ってのも問題だけど)。車があればラクチンですが、電車オンリーの観光客にはなかなか行くのにハードルのある立地です。
幸い春日山城周辺をつなぐ観光バスがあったのでそれに乗って、いざ! と、麓に到着して、待っていたのは、急な階段(階段の両脇に「公明正大」「大義名分」の石碑が建っているのがなんとなく上杉謙信っぽい感じ)。

ただ、「城」といっても、山城だし、しかも、今は本当にただの山になっておりまして、あちこちに立つ「○○跡」の看板を見ながら、想像力逞しく脳内再生していくしかないわけです。
かなりきれいに整備されてはいるのですが、とはいえ足下はあまりよろしくなく、旅行に行くたんびにさー、トレッキングしてるよねー、とハァハァいいながらひたすら急な階段や坂道を上ります。一応観光地なので、地元のそこそこ若いカップルがデートがてらにいらっしゃっているのを数組見かけましたが、彼女たちは一様にサンダル&日傘で登り切っておられて、若いってすごいなぁ…としみじみ感じ入った次第です。

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本丸跡に立つと、想像以上に見晴らしがよく、かなり広範囲を見渡せます(直江津の海までしっかり見えた)。春日山は標高180mほどだそうで、昨日高田城の櫓から見たときには「ちんまりした山だなぁ」と思ったのですが、下から見るのと上から見下ろすのでは、だいぶ印象が違います(左の写真は数百メートル離れたところから撮ったものですが、ちんまりしてるでしょう)。
かつてはここに建物があって、名だたる武将がそろって話し合いなどをしてたのね…と思うと、不思議な気分になる。

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春日山山頂からの素敵な景色を見ながら、きょうも駅弁を頂きます。天気がよくてよかったなぁ。
ハイマートの駅弁も食べられるのはあと2回だから、悔いなく食べたいものを食べておこうね…ということで、夫は「鮭めし」、私は「鱈めし」。
鱈の甘露煮の甘辛味に、半生たらこの塩辛さ、酢の物の酸味、それにほんのり昆布のうまみを含んだご飯。このバランスがとてもよくて、最後まで食べ飽きない。漬物も、わさび漬け、奈良漬け、はじかみと、わたし好みなものばかりなのもいい。
「鮭めし」も大変に美味しいとのこと。よかったよかった。

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順調に山を下って(夫は古い石垣とか土塁に反応するタチなのですが、二の丸後の当時のものと思われる土塁を見て喜んでいた)、謙信公の像が見下ろす茶屋で「新潟産コシヒカリモナカ」。コメ粒は言われなければほぼ感じなかったのですが、アイスがさっぱりしていて美味しかった。

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林泉寺によって、上杉謙信のお墓を見て、館長さんの解説(非常に流麗かつ臨場感のある解説でした。一通り解説し終わった後、「これであなたたちも謙信公だ!」と太鼓判を押され、別れ際には「謙信公をよろしく!」とグッドラック的な感じで言われたときには本当にそんな気分になりました)を伺いつつ宝物館を見学。
上杉謙信の直筆のあれこれが結構残っているのですが、どれもこれもものすごく男らしい字で、書かれてる文字もなんか男らしいスローガンみたいなものが多くて、なんかスゴイ…。山門にかかってる「春日山」の字も、上杉謙信の手によるものだそうです。上杉謙信には「実は女だった」という(与太系の)俗説がありますが、私も歴史系の与太話は嫌いじゃないですが、あの字を見た後には絶対にそれは信じられん。

ホテルハイマートへ戻って、預けていた荷物と、最後のお弁当を引き取る。3日間、昼夜ひたすらに駅弁をお願いをするなど、たいへんお世話になりました。3日間で14個かぁ…、よく食べたなぁ…。やりきった感半端なし。

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最後に商店街をぶらぶらして、初日から気になっていた「なおえつ茶屋」という珈琲屋さんに入る。聞けば、ふだんは日曜は開けないそうですが、何となく今日はたまたま開けたとのこと。先客が数人いましたが「あら、お客さんが来てくれるなんて、今日は開けてよかったわー」となんとも魅力的な雰囲気の女性が迎えてくれました。
この女性の舞台写真が何枚も飾られていたので、踊りをされてるのかな…と思ったら、この女性、花柳紀寿郎(はなやぎのりじゅうろう)さんという現役の舞踊家で、現在は直江津周辺で月に1回ほどのペースで林芙美子をテーマにした創作舞踊を発表しているほか、神戸などへ踊りを教えに行ったりなどもされているそう。話しの流れで年齢を伺ったら74歳とのお答えにびっくり(10~15は若く見えた)。日本舞踊をされている方って、体幹を鍛えているせいでしょうかね、若々しい方が多いですよね。

絶妙の間合いで色々お話ししてくれるのがとても素敵なのですが、コーヒーがものすごく美味しくて、これまた素敵だなぁ、と。アイスもホットもものすごく好みの味。聞けば、自分で生豆を取り寄せて自家焙煎しているそう。
「どうせ店をやるんだったら、愛するコーヒーを徹底的に極めたいと思って」と仰っておられましたが、独学でもこんなに美味しいコーヒーが淹れられるんだなぁと、私自身も普段あれこれ試行錯誤しているので、いいお手本を見せて貰ったような気分。旅の締めくくりにピッタリの時間が過ごせたような気がします。

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最後の駅弁は、やはり駅弁らしく、ほくほく線の中で食べよーと思っていたのですが、ちっともお腹がすかないので残念ながら持ち帰り。
その代わり、大宮駅構内のサザコーヒーのスタンドで、ソフトクリームとアイスコーヒー。昨年の八戸日帰り旅行の際に食べたのが無性に美味しかった記憶があって、今回もついつい寄っちゃいました。今日も美味しい。

その後、埼京線~武蔵野線と乗り継いで帰宅し、自宅でワンカップ飲みつつ駅弁を食べて旅のシメと相成りました(駅弁は次の記事で)。あぁ、楽しい旅行でした。

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上越旅行記、ようやくおしまい。ふー、お疲れ様でした!

上越方面へ旅に行っていました(2日目)

だいたい「食べることが好き」な人ってのは、「市場や商店街を覗くのも好き」と相場が決まっているもので、旅行となると殊更に、そういうところに行きたがるものですが、とはいえ、そんなにうまく日程が合うことはそうそうありません。

ところが、上越市の観光紹介のウェブサイト(上越の朝市)を見ると、この地域は昔から朝市が定期的に催されてきたようで、今も4つの大きな市が立つとのこと。しかも、今日はそのうちのひとつ「三・八の市(さんぱちのいち)」の開催日(3と8のつく日に立つ市なので、3、8、13、18、23、28日と、月に6回も開かれる)。直江津で開かれる市だったのもラッキーってことで、朝ごはんを食べてから、そそくさと出かけたのでした。

ところで、上越市のホームページ内に「朝市おもしろ発見100」というページがありまして、朝市で実際に見かけたり買ったりしたものを100個紹介しています。10年ほど前の記事ですが、これが大変に面白い。ここに出てくるものを見るだけで、いわゆる観光市場ではなく、地元に密着した日常の市場なのだな…ということがよく分かります(野菜や漬物だけでなく、またたびの実とか、山椒の木で作ったすりこ木とか、藁で編んだ郷土玩具っぽいものとか、そんなものまであって萌え萌えしながら読んだ)。

が、気合を入れて8時20分ごろに行ったにも関わらず(開場は8時)なんていうか、お客どころか、お店がまばら。時間通りに開いても特に誰も来ないってところがまた地元っぽい感じでいいな…と思いつつも、仕方なく、海岸まで出て穏やかな海をみながら、ぼんやり時間をつぶす。

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この日の海は穏やかで釣り人多数。後ろを向くと雪をかぶった立山連峰が見えます。内陸の平地育ちの人間にとっては不思議なロケーションです。
夫は、「海なのに磯臭くない! 海辺なのに臭わないんだったら、海辺の町に住むのもいいな!」と何度もつぶやいていました。確かに、海辺にはお約束の「磯の香り」というのは全くしません。その代わりといっちゃなんですが、常に海から風が吹き続けているのです。「常に海風が吹いている」というのは、この地域特有の気象だそうですが、この日はいい季候だったせいで、吹き付ける風が穏やかで大変に心地よかった。

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夏の海岸って意外と植物の宝庫だったりしますよね。今回、妙な克己心(たまには一眼レフの練習もしないとな! という訳の分からないヤル気)が沸き立って、カメラは一眼レフ+単焦点レンズの組み合わせ1本だけを持っていったのですが、なんといいますか、結果的に言うとちょっと失敗…だったのですが(やはり広角ズームのコンデジも持って行くべきだった)、天気のいい日に花を撮るにはバッチリではありまして、まぁまぁきれいに撮れたような気がします。きれいに撮れるのがうれしくて、旅の目的である駅弁以上に枚数を撮る。

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おそらく今回の旅で一番よく撮れた一枚。ただ、何て名前なのかわからないし、これが群生している様は、なんともグロテスクな雰囲気でした。

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上越市は小川未明の出身地でもあるそうで、彼の名を冠した文学館や文学賞も主催しています、市内全域で彼や彼の作品に関するモニュメントなどが見られます。これは、『赤い蝋燭と人魚』の銅像。この後ろで、夫は暑さでへばっておりました(ものすごく面白い写真が撮れたのですが、気の毒なのでアップするのはやめました)。

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8時40分ごろに行くと、もうすでに目的のブツを買ってさっさと帰る人ともたくさんすれ違いましたが、ほんとにほぼ地元の人。
三八朝市通りという300mほどの道路の両端に、2畳ほどのサイズのシートを広げて商品を並べたお店が並びます。もうちょっとわかりやすい写真も撮ってくればよかったんですけどねぇ、買うのに一生懸命で写真なんか頭にありませんでした(一番レフだといちいち取りだすのがめんどくさいというのもある。やはりコンデジも必要だよな…)。

多かったのは、農家のおばあちゃんが個人で野菜や山菜を売るお店。今はやはり山菜の季節で、わらび、赤みず、淡竹。あとは、今が旬のホウレンソウ。いかにも抜きたてでみずみずしくて美味しそう。里芋もどこでもよく見かけました。里芋って今が植え付けの時期でもあるので種芋もあちこちで売られていましたが、そのためか、「たべる里芋」と添え書きしているお店もあって、笑った。

買いたいものはあれこれありましたが、もう一泊するのでそうそう買いこめん…。うーんとあれこれ悩んで、わらび1束、赤みず1束、せり1束、わさび1束、雪下人参1袋、乾燥ぜんまい(太)1袋、芋がら1束、ちまき(5個入り)、はばのり(40グラム)。帰宅後、わらびはあく抜きしてカツオマヨ和えに、赤みずはお浸し、セリと雪下人参と乾燥ぜんまいはナムル、わさびはわさび漬けになりました(料理の写真は後日登場する予定…)。
農家のおばちゃんのお手製佃煮とかキムチも気になったのですが、さすがにね…ってことで今回は断念。私のいかにも観光客風情な風貌から、どの店のおばちゃんもやさしくて、あくの抜き方や食べ方を聞かずとも教えてくれるのが、またうれしい。市場って楽しいね。ほんと、もっとちゃんと写真も撮ってくればよかったよ。

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昨日直江津に降り立った時も「人けがないな…」と思ったのですが、今日は輪をかけて静かで、なんていうか不気味だったのですが、小学校で運動会が開かれていると知って納得。しかも市内全域の小学校が運動会だったようで、土曜だからそもそも店は閉めているけど、その上大人も子供も小学校に集結するから、より町中には人気なし…という状況だったのもかもしれません。

にぎやかさにつられて、目についた小学校の運動場にふらりと紛れ込んで、しばらく眺めてみる。プログラムをみると、園児や大人も混じっていたので、小学校だけでなく、近くの幼稚園や青年団なども一緒にやっているのかもしれません(生徒自体は100人いない感じだった)。
しかし、私が子供のころの運動会と比べると全体的にタルっとした雰囲気だなぁと思う。でも、所詮運動会なんてお祭りなんだから、これが正しい在り方だよな…と、運動会が嫌いだった私は、そう思ったのでした。


ホテルに戻って駅弁を受け取ってから、電車(えちごトキめき鉄道の妙高はねうまライン)で高田に移動。
直江津-高田間は2駅で8分と大変に近いのですが、ただ、運行本数が1時間に1~3本なのがミソ。待ち時間も含めるとだいたい30~40分ほどかかるというところが、近いんだけど近くない微妙な距離感を感じます。地方の人からすると1時間に1~3本って普通だよと思う人も多いでしょうし、慣れの問題に尽きるのですが、やはり長く感じます。あとですね、直江津駅にはIC対応改札口があったのでついスイカで入場してしまったのですが、えちごトキめき鉄道はスイカ非対応で焦った(結局、現金で払いなおして、証明書を出してもらって事なきを得た)。旅に日常の感覚を持ち込んではいけないなぁとつくづく思い知らされたのでした。

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ところで、高田といえば、徳川将軍家ゆかりのお武家さんをお殿様に迎えて繁栄した城下町だそうで、なかなかの観光地……だと思っていたのですが、駅に降りてびっくり。誰もおらんのよ。誰もというと語弊があるけど、でも、ほぼ人がいない。
去年が開府400年記念ということで大々的にイベントを開き、駅前もきれいにしたそうで、実際駅舎から駅前商店街に至るまでとてもきれい。なのにほとんど人がいないので、異様に不気味だった。

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ドキドキしながら高田公園(高田城跡地)まで歩いて、ようやく人の気配が感じられてきたのでホッとする。大きな競技場では近くの中学校か高校か、合同運動会が催されていてここでも運動会。昭和育ちの私は、運動会と言えば秋なのですが、いまや初夏にやるのが当たり前なのですよねぇ。

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花が咲いたらさぞやきれいだろう…と思わせる一面蓮が浮かぶ池の前のベンチでようやく今日の駅弁。夫は昨日のおじさんのお勧め通り「鮭めし」、私は「するてん」。

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鮭めし
ハイマートの看板駅弁「鱈めし」と同じ容器に詰められており、構成は似ています。「鱈めし」と同じく、ご飯は錦糸卵を乗せた昆布の炊き込みご飯、その上に焼いてほぐした鮭がたっぷり。いくら、ガリ、奈良漬に、シロップ漬けのあんず。
この鮭が大変においしかったそうで、夫は今回食べた駅弁の中ではこれが一番美味しかった! と言っておりました。

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するてん
昨日食べた「鱈めし」「磯の漁火」と、これが目的だったので、ウキウキしながら食べる。
上越市のご当地グルメである「するてん」は実際に食べてみると、柔らかくて食べやすい。軽く干してあるからか塩加減も絶妙で、これはお酒が欲しくなります。するてんとわさび漬けで軽く呑んで、おにぎりとゆでたまごでシメ(このおにぎりがほんとにごく普通のおにぎりで、それが無性に美味しい)。オレンジで口直し。シンプルで大満足の組み合わせです。あぁ、カップ酒のひとつくらい買っておけばよかったなぁ。

 

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腹ごなしも兼ねて、小林古径邸、小林古径記念美術館総合博物館高田城三重櫓と見て歩く。

小林古径邸は馬込にあった自宅を移築したもので、数寄屋造りらしい上品な雰囲気が、いかにも文化人の家だなぁと感じます。小柄な私ですら屈んで歩いたほうがいいのかな…と思うほどに、全体的に天井が低く、それが全体的に小ぢんまりとした温かみを醸し出しているような気がしました(写真左は庭から書斎を写したもの、右は書斎から庭を臨んだもの。書斎はより天井が低く、薄暗く、穴倉っぽい雰囲気。考え事をするには最高だろうな…と思わせる空間でした)。あと、純和風建築なのに台所だけが洋風ってのにもびっくり。家族の要望だったのでしょうか、そういうのを考えるのも楽しい。

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高田に来た一番の目的は、「雁木」を見るためだったので、雁木が残っているメインストリート(雁木通り)をてくてく歩いてみる。

雁木(がんぎ)とは、豪雪地帯(主に新潟)に見られる建築のひとつで、見た目には大きな軒(庇)のようなものです。事実、上越市のホームページには「庇を延長したもの」と紹介されています。
厳寒期の通路を確保するために生み出されたものですが、一番重要なのは、この雁木は私有地だということです。
道路に面した部分は庇を伸ばして雪を除け、誰もが往来できる通路を確保する。みんなが少しずつ自分の土地を公共に提供して日々の生活を守るという互助意識そのものが、雁木の特徴といえるのかもしれません。

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高田は残存する雁木の総延長が16キロもあり、日本一とのこと。
さすがに16キロも歩けないので(しかも、かなり細切れに点在している)、町中の数百メートルだけ歩いてみましたが、ガイドブック等で紹介されている古風な雰囲気のものだけでなく(こんな感じ)、昭和後半チックなトタンやプラスチックなどのチープな感じの雁木も沢山ありました。というか、むしろ後者な雁木のほうが大多数で、(勝手に)小京都的なイメージの小径を想像していた私たちは、若干肩すかしを食らった…とも言えます。確かに文化遺産なのですが、なんていいますか、普通に道でもありますからねぇ(他人様のブログですが、ものすごい量の雁木の写真を撮られた方がいたので勝手にリンクを貼ってしまう。こう見ると、やっぱり圧巻だな…とも思う)。


妙高はねうまラインで直江津に帰って、予約しておいた駅弁を引き取って晩ご飯。もうすでに、4度目の予約&引き取りなんだけど、ここまで繰り返すと、なんだかちょっと恥ずかしい気もする。

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今日のお弁当は、「愛のご膳」「親子にしん」「海の幸弁」。

海の幸弁のパッケージには、郷土の偉人として、上杉謙信、前島密、川上善兵衛の3人が印刷されていて、なんだか物々しい。ちなみに、川上善兵衛さんは、岩の原葡萄園というワイナリーを築き、マスカットベリーAというぶどうを育て上げ、「日本ワインの父」といわれるお人です。岩の原葡萄園も行ってみたかったですけどねぇ、ちょっと遠いので今回は断念いたしました。

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愛のご膳
いわゆる冠婚葬祭や会議用のお弁当なのだと思いますが、看板弁当のおかずを盛り合わせた、なかなかお得なお弁当だと思います。
左上は煮物と焼き鮭ほぐし、右上はにしんの甘露煮、焼きたらこ、鱈と数の子の酢の物、わさび漬け、右下はするてん、ツブ貝煮物、笹団子、左下は五穀米にキューちゃん漬け、ガリ、梅干し。

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親子にしん
昨日食べた「ほたてご飯」と同じ容器。白飯の上ににしんの甘露煮と数の子の煮物が乗っかっております。甘露煮は昨日食べた鱈よりも甘めな気がしましたが、これはこれでグー。個人的にはもっと数の子が食べたい! と思いましたが、致し方ないですかねぇ。
美味しかったですが、しかし、にしんの甘露煮と数の子の駅弁と言えば北海道。「鯡みがき弁当」目当てに函館に行くのもいいなぁ…なんてことも思ってしまいました。

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海の幸弁
開けた瞬間、「あれ?『親子にしん』を2つ買ってしまったか?」と思ったほどに、見事にダブりましたねぇ。「愛のご膳」と同じく盛り合わせのお弁当なのですが、メインがにしんの甘露煮。これは予想外でした。ほか、ほたての甘辛煮、するてん、甘海老から揚げ、ガリ、わさび漬け、キューちゃん漬け。
美味しかったけど、すでに数種類の駅弁を食べている身からすると、若干の物足りなさもアリ…。

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朝市で買ってみたちまき。
餅米を笹の葉で包んで茹でただけなんだって。笹の葉って珍しいな…と思ったけど、笹団子が名物の地位なんだから、むしろここでは笹の葉って普通なのよね、きっと。
これを売っていたおばさんは、「きなこ付けたり、甘いのが苦手な人は醤油付けたりして食べるの」といって、うぐいすきなこを添えてくれた。
1つは小ぶりのおにぎりぐらいのサイズだけど、餅米だけあって、ややずっしり。弁当を1.5個も食べた後に入るかな…と思いつつ、きなこをたっぷり付けて食べると、これが、やたらと美味しい! 餅米がうまいのか、きなこがうまいのか。5個を2人でするっと食べてしまった。何がどうというわけではないのだけど、妙に印象深く、忘れがたい、素朴な味なのでした(笹巻きのちまきの作り方を紹介しているブログがありましたが、しかし、難しそうだなぁ)。

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せっかくなので今日もお酒飲んでます。「RIFINED SAKE」。んー、なんだー? と思いましたが、「清酒」ってことなのね(能鷹の何か。何を飲んだのかは忘れた)。
今日もよく歩いて、よく日に当たって、よく食べた1日でした。いい具合にすっからかんにリフレッシュしています。

上越方面へ旅に行っていました(1日目)

上越方面に旅行に行っておりました。

今年のゴールデンウィークは夫はベラボーに忙しかったので(そのわりに、日帰りで水戸に遊びに行ったりもしましたが)、うちとしては、ここがゴールデンウィーク的な感じなのであります。さほど遠くではないので、1泊でもよかったのですが、夫が「久しぶりにたっぷり旅を満喫したい」というので、思い切って2泊に。わたくしも、生まれて初めて、有給休暇を取っての3連休なのでした(今まで有給とかボーナスとか手当とか、そういうものが存在する会社で働いたことがなかったの…)。
結果的に、2泊してよかったねー、と帰りの電車の中でうなずき合う、大満足の旅行になりました。

行き先は上越市直江津地区(上越市の観光のページ )。

最大の目的は、直江津駅で売っている駅弁を食べることです。というのも、わたくし、『駅弁ひとり旅』という漫画を未だに後生大事に読み返しているのですが、そこで紹介されていた駅弁(鱈めし、するてん)が何とも美味しそうなこと(直江津の駅弁が紹介されているのは11巻)。うーん、いつかは行って食べてみたいなぁ…と思いつつだいぶ経ちましたが、ようやくその希望が叶うことになりました。

ちなみに、直江津駅の「鱈めし」というのは駅弁好きにはつとに知られたもののひとつのようでして、駅弁マスター・ヨネスケもわざわざ直江津まで行って食べた感想をエッセイ(農林水産省/駅弁紀行 第21回)にものしていたりします。

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Maxときの車内で、大宮駅の新幹線ホーム内の売店で購入した「ひと口 牛たん 麦ご飯」(こばやし)を食べる。

駅弁食べに行くのに、その前に駅弁食べてどうする…と悩んだが、しかし、お腹が減ったので。スパイシーな炙り牛タンの薄切りを麦ご飯で挟んで一口大にカットしたもので、おおよそ想像通りの味。手軽で美味しい。
夫にも勧めたのだけど、数年前(もうだいぶ前)に仙台で牛タンを食べ過ぎてお腹を壊して以来、牛タンには全く興味を示さなくなっており、今回も見向きもしなかった。まだ牛タンへの苦手意識は継続しているようです。

目的地直江津駅へは、大宮から上越新幹線で越後湯沢まで出て、ほくほく線(北越急行)に乗り換えて向かいます。行ってみたいと思いつつ実行するのに何年もかかったのは、微妙に、首都圏からのアクセスがよくないイメージが強かったから…というのもあったのですが、大宮から越後湯沢までってたった1時間。思っていた以上に近くて、あっという間でした。

ほくほく線の超快速「スノーラビット」で終点直江津まで。越後湯沢から直江津までは14の駅があるけれど、停車駅は六日町駅ただひとつ。1時間弱で直江津に着く。南関東エリアから日本海側に出るのは昔はかなり時間がかかりましたが、今や3時間ほどで行けちゃうものなのですね。

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ろくな写真が撮れませんでしたが、車窓からの景色は、雪山をバックに、チロルっぽい建物が密集する地区もあり、なかなかよい雰囲気でした

超快速というのは、特急ではないんだけど、快速よりも速いという意味合いで付けられたようですが、つまりは、「特急料金なしなのに、ほぼ特急列車」ということ。運転開始は今年の3月なので、まだ2ヶ月ちょっと。だから、車両もきれいで心地よい。しかも、ほくほく線は(ちょっとトンネルが多いんだけど)車窓からの景色が長閑で素敵。駅弁食べながらのんびり過ごすってのも相当よさそうです。(車両が)新しくて、便数も少ない(超快速は1日1便)からでしょうか、平日にもかかわらず、乗り鉄、撮り鉄とおぼしき人(ほぼ中年男性)がちらほら見受けられ、停車した折には皆先頭車両に殺到して、電車の正面を撮影しておりました。

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正面からの写真はいまいちだったので、車両横に描かれているスノーラビットさんを激写

終点直江津駅に到着。駅構内に駅弁売り場があって、あぁー、漫画にあるとおりだーと思わずしみじみと見入ってしまったのですが、実は、もうホテルで予約しているので、ここのおじさんからは買えない…。おじさんが「私の一番のお勧めはコレ!」と言っていたのは「さけめし」でしたが、予約していたのは違うお弁当なのよね…、残念。明日食べることにしよう。

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直江津駅を出たところすぐにある「ホテルハイマート」。直江津駅の駅弁はここのホテルで作られているので、駅構内の駅弁売り場で購入するほか、予約してホテルで受け取ることも可能なのです。

 

早速予約した駅弁を受け取って、ぶらぶらする。天気もいいし、屋内で食べるのは味気ないから、どこかいいところはないか…と思いつつ、海方面に向かいましたが、海岸に降りる道が見当たらず、弁当を広げて良さそうな場所も見当たらず焦る。

仕方なく水族博物館の脇の公園で新聞紙を広げて座り、ようやくお弁当とご対面。

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夫は「するてん」、私は「鱈めし」。

ハイマートの駅弁は種類が多くて目移りするけど、やっぱり最初は名物からだよねーってことで。「鱈めし」のパッケージが、鱈漁の写真ってのがなんだか生々しくてインパクトがあるなぁ、と思う。普通、もう少し、食材感のある写真を使うんじゃなかろうか。ただ、このインパクトがまたいい味出してるなぁとも思うのですが。

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鱈めし。

鱈の甘露煮をメインに、半生薄切りの焼きたらこ、鱈と昆布の子和え(結構酸味が強い)、はじかみ、わさび漬け、奈良漬け、梅干し、昆布の炊き込みご飯。お弁当箱は小ぶりですが、ご飯もぎっしり、おかずもバラエティ豊かで十分すぎる量です。

しかし、はなっから「うまいだろうなぁ~」と思いながら食べたにも関わらず、想像した以上に美味しかったのがまた嬉しかったです。なんていうか、最近の「美味しかった!」は、「あんまり期待してなかったけど、でも、実際に食べたら美味しかった」ってパターンの「美味しかった!」が多いので。「期待通りに美味しい!」って、個人的にはかなり嬉しい。

考えるに、このお弁当の一番の素晴らしさは、甘い、辛い、酸っぱい、しょっぱいのバランスが絶妙なところにあるんじゃないでしょうか。さすが、看板駅弁だけあります。甘露煮の味も見た目ほど濃くなく、これだけで美味しくいただける塩梅。
あと、印象深かったのがわさび漬け。妙に美味しかったのですが、これ、自家製だったのでしょうか。あんまり美味しかったので、帰宅後、わさび漬けの作り方を探してしまいました。

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するてん。

「するてん」とは、一夜干ししたいかの天ぷらのこと。最初は駅弁用に開発されたおかずなのかと思っていたのですが、そうじゃなく、上越地域の郷土料理のひとつなんだそうです。地元の居酒屋さんのお品書きにも「するてん」とありましたし、昔からこの地域では馴染みある食べ物なんでしょうね。

で、するてんは、するてんをどーんとメインにした弁当で、ものすごく潔い内容。たっぷりのするてんの他は、わさび漬け、キューちゃん漬け、ゆで卵、おにぎり(鮭、梅)、オレンジ。しかし、このシンプルさがイイ。するてんは柔らかく、おにぎりも美味しい。夫はことに鮭おにぎりが美味しいと気に入ったようでした。

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食後に上越市立水族博物館へ行き、2時間以上も堪能。
なんとはなにしふらっとはいっただけなのですが、すごく楽しい水族館でした(また行きたい)。園内のあちこちに「完成したときには日本一」みたいなネタがちらほらあって(マゼランペンギン飼育数とか、水槽の大きさとか)、意外と知られた施設なのかも…。今年の4月から実際の管理は横浜八景島に移管したそうで、北陸新幹線の開業を見込んで改装する予定もあるとのことなので、数年後に行ったら、もっと立派な施設になっちゃっているかもしれません。

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展望ルームにあった地図。地図って、どこを中心に据えるかで、がらりと印象が変わるよね…とつくづく思う。

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マゼランペンギン。
カメラを向けると喜んでやってくるので人なつっこいなーと思っていたら、カメラのストラップが魚に見えるらしく、それに反応していたようでした。しかし可愛かった…。正面から見ると、うちの黄色い小僧に顔立ちがそっくりで、ああやっぱり、鳥だよねと思う。

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直江津地区ってのは親鸞聖人流罪の地としても知られているところだそうで、ゆかりの場所の一つである五智国分寺に行ってみる(この寺院内にある草庵で過ごしたそうです)。
国分寺の名が示す通り創建は奈良時代ですが、実際は戦国時代に上杉謙信によって再興され、今に至る…という感じのようです。現在の建物は平成9年に再建されたものですが、塔も金堂も質実剛健的な感じで、寺全体が清々しい雰囲気でした。

ところで、直江津地区は国分寺があったことからもわかるように古くから栄えた町だったようで、中世のころにはこの地域を「府中」と呼んだそうです。府中という地名、地域名は全国に結構ありますが、とはいえ、やはり、なんとはなしに親近感が沸くような気もします。

 

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駅前に戻って、駅前商店街をぶらりとし、名物「継続団子」とビール、酒を買う。

「継続」ってどういう意味? としおりを読むと…時は明治36年に、米穀取引所の営業の継続許可が下りたのを記念して作られた…のがその由来だそう。米穀取引所とか、継続許可が出て市民喜びの提灯行列とか、「継続」という言葉が商品名になってしまうとか(たぶん、流行語だったんでしょうね)、時代だなぁ…と思う。団子と聞くとつい餅菓子を連想しちゃいますが、これは、白餡を固めて串に刺したもの。あんこ玉に近いかも。素朴な甘さで美味しい。いろいろ時代がかってますが、お味そのものは、お茶よりむしろ、コーヒーに合うハイカラ風味な気がします。林芙美子の『放浪記』にこれを食べるシーンがあるそうで、それを聞いて私は生まれて初めて『放浪記』を読んでみようかな…と思ったのでした。

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晩ご飯用に予約した駅弁の引き渡し時間まで間があったので、駅構内の駅弁売り場で「甘海老天丼」を買って、つまみながら 一杯やる。冷たいビールが美味しい。

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晩ご飯は、夫は「ほたてご飯」、私は「磯の漁火」。

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ほたてご飯。

白飯の上に、ほたての照り焼き。横半分にスライスしているのがやや興ざめながら、食べやすいので結果オーライといえるかも。ご飯とのバランスが絶妙で、駅弁大会では結構ウケそうな気がします。

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磯の漁火。

「鱈めし」とこのお弁当が、雑誌などでよく紹介されるので二枚看板なのだと思います。二段になっていて、下がおにぎり、上がおつまみ。のんべさん専用弁当といったところでしょうか(それがいいのよね)。
おつまみは、カニの身入りもずく酢、にしんの昆布巻き、サザエの壺焼き、炙り一夜干しいか、甘海老から揚げ、オレンジ。おにぎりは、梅と鮭。わさび漬けにキューちゃん漬け。おにぎりが美味しいなぁ。

お酒は千代の光の純米大吟醸。さらっとしていてすいっと呑めます。怖いなーと思いながらすいすい呑んじゃいましたが、翌日もすっきり、でした。

しかし、よく歩いて、よく日を浴びて(すごく焼けた…)、よく食べた1日だったなぁ。いい休日を過ごしております。

津軽帆立めし

津軽帆立めし by nekotano

大宮駅構内の、「駅弁屋旨囲門(大宮エキュート店)」は、駅弁好きにはつとに知られたお店でして、とりあえず大宮駅を通る用事があれば、なんとなくのぞいてしまいます。なんといっても、地元の駅弁だけでなく、東北本線沿線の駅弁を集めてくれているのがいいのです。

最早さんざんご飯を食べた後にも拘らず、やっぱりのぞいてしまい、何とも美味しそうだった「津軽帆立めし」という弁当を買う。つがる惣菜という、五所川原にあるお弁当屋さんのですが、ホームページを見ると、どれもこれも美味しそう。素朴を極めるとごちそうになる、っていうか、そんな感じ。

このお弁当も、弁当好きの心を分かってるなーという感じの組み立て。2種類の帆立が入った炊き込みご飯に、ほんのり甘くて、ものすごく大きな卵焼き。煮物少々に、きゅうりの浅漬け。シンプルだけど、丁寧に作られていて、だからとても満足感がある。美味しかったなぁ。東京駅でも販売しているようなので、ぜひ違うお弁当も食べてみたい。

お供は、八戸で買ってきた桃川の杉玉(純米)。さらっとし過ぎていてちょっと驚いちゃいましたが、弁当を食べながら飲むにはちょうどよかったかも。

しかし、4時半に起きて6時台の新幹線に乗って八戸へ行き、ウミネコみて、うに丼食べて、トレッキングして、駅弁食べて、今また駅弁食べながら酒飲んで。でも、まだ22時にもなってないの。こんなに1日をフルに使いきったのは初めてかもしれん…。まぁともかく、充実した日帰り旅行でした。

八戸小唄寿司

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無事、八戸駅までたどり着き、17時6分発東京行きのはやぶさに乗車。もちろん、帰りは普通車です。

八戸駅は新幹線停車駅ということもあって、駅弁の種類が多いと聞くのですが、前回行った際も、今回も、時間が悪かったのか、ほとんど選択肢がない状態。一応、主要メーカーのホームページ(吉田屋ニュー八ウェルネス伯養軒青森支店)を見て、食べたいものの目星は付けておいたんですけどねぇ。

最期の1個だった「八戸小唄寿司」を購入。昭和36年に生まれた、八戸で一番古くて有名な駅弁だそうです。

ありていに言えば、鯖と紅鮭の押し寿司で特に面白味があるわけではありませんが、そこはやはり、昔からある弁当だけに、味わいが絶妙。鯖も鮭も、結構がっちり〆てありますが、酢飯とのバランスが絶妙で食べ飽きない。そもそもご飯が美味しい。

あまりによく冷えていたので思わずふたを開けてしまった、南部美人(上撰)のカップ(一緒に買った「おーいお茶」もキンキンを通り越してカキンコキンに冷えていた)。さすがに、押し寿司と日本酒って、どうかなぁ…と思いつつも、いやはや、よく合う。この組み合わせ、旨い。

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夫は、吉田屋の「海女の大漁めし」。加熱式容器なので、匂いがスゴイのかしら…と二人でドキドキしながら温めましたが、心配したほどではなかった。ご飯の上にめかぶが大量に敷き詰められていたそうで、私はめかぶ好きだからいいけど、夫はちょっとしんどかったかもね。

こんなヘトヘトなところに日本酒飲んだら寝るな…と思っていたのですが、何故か睡魔はやってこず。パンフレットを読み返したり、ぼんやり車窓を眺めたり。普通車で十分なんだけど、でも、グランクラスの座席は快適だったなーと、行きの極楽を反芻したりして、大宮までの道程を過ごす。

グランクラス和軽食

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突然ですが、日帰りで八戸まで行ってきました。

というのも、夫が、「グランクラスに乗ってみたい。乗りに行かないか?」と、急に言い出したからです。最初聞いた時は、ちょっと前に軽井沢に行ったばかりだし、しばらく旅行はエエやろ…と思いましたが、ここ最近はちょっと見ないほどに猛烈な勢いで働いているのでダメと言いにくいうえに、8月に入ると東北は祭りシーズンで観光どころじゃなくなるし、お盆が過ぎるともう寒い。行くなら、今しかない…という状況なのでした。

グランクラスとは、JR東日本の新幹線の特別車両の名称のひとつで、イメージ的には、新幹線のファーストクラスと言った感じ(料金は、グリーン車料金にプラス5000円なので、飛行機のファーストクラスよりはお手軽ではあります…)。サービス開始はつい最近と思っていましたが、調べると、2011年3月には開始されているので、もう、結構経っているのですね。グリーン車だって相当贅沢なので、一生乗ることはないだろう…と思っていましたが、まさか、乗る機会がやってくるとは。

グランクラスは、東北新幹線と長野新幹線で導入されていますが、素晴らしいシートをじっくり堪能するには青森くらいまで行くのがいだろう、ということで、「はやぶさ」に乗って八戸まで行くことに。

新青森まで行ってとんぼ返りする、「アホー列車」ごっこをする事も考えましたが、残念ながら、百閒センセーのように、電車乗って、酒呑んで、それだけで満足できるほど大物ではない(内田百閒の『第一阿房列車』はもちろんだけど、一條裕子さんの手による漫画も素晴らしいので、読む際にはぜひ併読をお勧めしたい)。やっぱり出掛けたならば少しは観光もしたいよね…と考える凡人は、八戸まで行き、

  • 蕪島でウミネコを見る
  • 生うに丼、磯ラーメンを食べる
  • 種差海岸の天然芝を見る
  • トレッキングする

の4つを目的として組み込んでみたのでした。奇しくも目的地八戸では、7月31日~8月4日の期間に「八戸三社大祭」という、ものすごく大きなお祭りが行われるそうで、日帰りだから特に問題はなかったものの、泊りだったら、宿を探すのはちょっと大変だったかもしれません。

前フリが長くなりましたが、冒頭の弁当は東京駅で買った駅弁ではなく、グランクラス内で提供された軽食です。和軽食と洋軽食から選択できますが、ふたりとも、和で。だって、なんだか、こっちの方がおかずが多いし、美味しそうなんだもの(洋軽食はサンドイッチがメイン)。

駅弁を見慣れた目には、「あら、ちょっと少な目…」と感じるサイズなのですが、実際には、十分な量。これから旅に行くわけですから、ここでお腹いっぱいになってもしょうがないわけで、程よく、しかし、満足できるように心配りされている感じを受けました。

和軽食は、NRE大増製。同封のお品書きには「東北編」とあり、東北各地の名産、名物を意識した献立となっています(上り下りや、季節によって、メニューが異なるようです)。

  • さわら味噌幽庵焼
  • 蓮根煮
  • もろこし真丈
  • しそ巻くるみ揚、赤パプリカ揚
  • 帆立貝ひもと数の子の和えもの
  • 煮物 (野菜豆腐寄せ、玉蒟蒻、蕗、空豆、飾り人参)
  • だだ茶豆ご飯、刻み梅
  • びわ蜜煮

どれも品のいい味付けで美味しかった。飲み物は、あおもりシードルにしましたが、ドライな味わいのシードルともよく合いました(このシードルが美味しかったので、お土産に買えないかなぁと思ったのですが、時間がなくて探し切れず。残念)。

ちなみに、グランクラスでは、アルコールを含む飲み物が、飲み放題。ザルの方なら、軽食+アルコールでグランクラス料金の元が取れるかもしれませんね。

軽食の他に、おつまみとデザートが付きます。おつまみは、亀田のミックあられ。デザートは、アルパジョンという八戸の洋菓子店の「青森ルージュア」というりんご入りのパウンドケーキ。素朴な甘さが美味しいです。

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夫が時刻表と首っ引きで立てた計画に従って、6時32分東京発のはやぶさ1号に乗車。これ、二戸より北に行く新幹線としては始発です。こんな早い時間から動いてるんですよねぇ、新幹線って。連結しているこまち1号は盛岡で切り離されて秋田へ向かいます。

グランクラスは、はやぶさの先頭車両にあり、専任のキャビンアテンダントさんがお迎えしてくれます。

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誰もいなかったので、思わず車内の写真も撮ってしまった(笑)。詳細は、JR東日本の特設サイトをご覧になるといいですが、ものすごいプライベート感の強いシートで、とっても快適。ただ、プライベート感が強いあまり、隣に座っている夫に声を掛けるのに一苦労。普通の大きさで声を掛けても届かず、声を掛け合う度に、老人の会話のような感じになっていた。

しかし、ここまで足が延ばせるシートに座ったのは初めてで、それがこんなにも快適だとは思わなかったです。私は新幹線独特の小刻みな振動がかなり苦手なのですが、盛岡まではそれも全く感じず、本当に気持ちよかった。

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9時22分に八戸駅に無事到着し、八戸線に乗り換え。本当は10時7分の久慈行きに乗る予定でしたが、どうやら9時28分の鮫行きに間に合いそう。が、なんたることか、八戸線はJRなのに、スイカが使えない。戸惑っていると、駅員さんに「これ持って後で払って!」と紙を渡され、走って飛び乗る。あれ、八戸線なのに、青い森鉄道の証明書でいいのかな…と思ったけど、特に問題なかった(よかった…)。

それにしても、久しぶりにディーゼルエンジンの列車(汽車っていわなきゃいけんのかな…)に乗りました。あと、冷房が扇風機だけってのも懐かしい。こういうものを懐かしいなぁと思う年齢になったのだなぁ。

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蕪島は、鮫駅からバスで1駅もしくは、1キロ弱ほど歩いたところにあります。昔は本当に島だったそうですが、戦争中に海軍が埋め立ててしまったそうで、今は地続きです。島の頂上に蕪島神社があります。

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蕪島神社は、国内有数のウミネコの繁殖地として知られておりまして、ぜひ一度行ってみたかったのです。

八戸市のホームページによると、おおよそ、2月中旬~4月中旬にかけてやってきて、5月の間に巣作り、産卵、抱卵、6月は子育て、7月になると順次巣立ちし、8月までには去っていく…というサイクルだそうです。つまり、もう、今が、今年蕪島でウミネコを見る最後のチャンスなのでした。

もうほとんどいないのでは…と思いましたが、十分すぎるほどにウミネコだらけで、当初の目的を達して大満足。山ほど写真を撮ってきましたが、とりあえず2枚だけ…(そのうち、足すかも)。

ただ、蕪島神社のホームページにある「ウミネコ観察(2010年)」というページを見ていたら、まぁ、もう、最盛期にはヒッチコックの「鳥」並みの大群(もっとかも…)のようでして、そんな恐ろしい光景も、ぜひ一度、生で観てみたい気がします。

それにしても、どこもかしこも、ウミネコの糞だらけ(笑)。鳥の糞には慣れているほうだと思いますが、さすがに、魚を食べる鳥の糞はうけたくないなぁ…と思いつつ、ウミネコを堪能いたしました。顔はやや邪悪な感じもありますが、まじまじ見ているとなかなか可愛げがあります。声も可愛い。蕪島ではウミネコのほうが主人なのでしょう。人間を恐れる風はなく(人に興味がないというほうが正しいかも)、マイペースでのんびりした雰囲気の鳥が多かったです。

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かなり写真を撮ってきているのですが、なかなか整理しきれないので、とりあえずは、ここまで…ということで。

かきめし

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かきめし by nekotano

きょうは、私も朝から外に出ていたし、夫も昼から出ると言う事だったので、晩ごはんはお互い自由行動ということにしていた。

新宿を経由して帰るから、外で食べるなら新宿だな…あー、なんにしようかなーと思っていたものの(といっても、選択肢はカレーかラーメンだった)、いざ帰宅時間になってみるとヘトヘトでもう外で食べて帰る気力はない。たまたまJR新宿駅1Fに出る階段を使ったので、ちょうどいいわと駅弁屋に寄る。

湘南しらす弁当いいなぁ…しかし、大船軒だったらやっぱ鯵の押し寿司でしょう。でもねぇ、いわて黒豚とんかつ弁当も捨てがたい…などと、うじうじ悩んでいたのですが、ふと見ると黒豚とんかつ弁当が忽然と姿を消していたので、ようやく心を決めて、氏家かきめしを買う。

電車で夫からのメールを見ると、神田で餃子を食べて帰ると聞いていたハズなのに、なぜか、「小嶋屋で天そば待ち」とあった。スヰートポーヅで食べてくるんだったら、感想を聞きたかったのになぁ(ここのギョウザはいわゆるお馴染みのギョウザではなく、グオティエみたいな形状なので、一度行ってみたいと思っているのでした)。まぁ、いいか…。

まずは、スティックきゅうりと生食用青唐辛子(そんなに辛くない)を、味噌を付けながらちびちび齧り、黒糖梅酒のソーダ割り。疲れてると、シュワッとしたものから欲しくなります。

かきめしは、かきだけでなく、あさりやつぶ貝も入っていましたが、主役はそれらのうまみを吸ったご飯でしょう。しみじみうまい、酒を飲みながら食べてもうまい。お箸の袋に印刷された「氏家待合所」の文字や、掛け紙にある厚岸駅周辺の地図が旅情を誘う。ああ、旅に出たい…。