日別アーカイブ: 2017/01/20

ピェンロー

カテゴリー: 夕食 | 投稿日: | 投稿者:

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実家から送られてきた野菜の中に、立派な大玉の白菜があって、うーん、これは普通に食べても食べ切らんな、ピェンローにしてみるか…と、初チャレンジ。

ピェンロー自体は、子供の頃から、その存在を知っていましたが、案外作るのが面倒くさそうだったので、ずっと敬遠していたのでした。なんていうか、お約束が多すぎるというか…。妹尾河童さんには、そんなつもりはなかったでしょうが(むしろ、インタビュー記事を見ると、つねに「おおらかに楽しめ」と言っているような印象がある)、ピェンロー信者には、かつての「鍋奉行的」な感じの人が多い気がします。

それはともかく、ピェンロー。折角なので、dancyuに載っているレシピにほぼ忠実な分量で作りました。驚いたのは春雨の量で、そんなにイラン…と思いましたが、でも、一応最初くらいはと入れてみる。正直に言うと、やはり多かったです。

作ってみてよく分かりましたが、材料がシンプルなので、味わいの特徴を一言で言うと「滋味」。なので、好き嫌いがものすごく分かれる料理だと思います。また、干し椎茸の出しが美味しさの下支えの大部分を占めているので、そもそも、干し椎茸が好きじゃない人は、恐らくあんまり美味しくないと感じると思います(ここをきちんと分量通りにすることが最大のポイントだと思います)。結構な量の、豚バラ肉と鶏もも肉を入れますが、どちらも脂がよく出る素材で、ピェンローとはラードで煮る料理という側面もあります(さらに、コクだしと香り付けのためにごま油も加える)。なので、安い肉や古い肉を使うと、あんまり美味しくない。干し椎茸と、肉から出るうまみを、白菜と春雨に吸わせて、最後まで美味しく食べる…のがピェンローの真髄なのだと思いました。あと、しっかり煮込まないとうまみが出てこないので、それなりに作るのに時間もいります(4~6人分を作ろうと思うと、多分、3時間ほど必要だと思う)。そこが、いわゆる「鍋」と違うところで、ピェンローは鍋料理の範疇で紹介されることが多いと思いますが、これは煮込み料理なんだな…と強く実感。

切るだけ、煮るだけの料理で、味つけも、食べる際に各自が好き好きに塩を入れるだけなので、味つけすらしなくていいと言う意味で、お手軽料理なのですが、それゆえに、美味しく作るには、いろいろ気をつけるべきポイントもたくさんあって、案外難しい料理だなぁ、と。ピェンロー信者の口うるささも、なんとなくナットク…なのでした(簡単なのに、蘊蓄がいると言う意味でも、まさに「男の料理」)。シンプルってむずかしいです。

どこで読んだか忘れたのですが、確か、妹尾さんが仰っていたと思うのですが、ピェンローってのは、もてなし料理なんだと。最大の贅沢素材は、塩。だから、銘々皿に盛ってから、好きなように塩をかけるのだと。

もちろん、そのようにして食べてみましたが、脂が一杯溶け込んでいるのもあって、結構しっかり目に入れた方が美味しい。が、普段、塩の量を量りながら調理している身にとっては、かなり気を遣う作業ではある。これくらい入れた方が美味しい…しかし、それでは、恐らく合計で○グラムくらいになるであろう…、ものすごい葛藤と戦いながらのピェンロー。2グラムくらいで抑えたつもりだけど、もうちょっと入れたかも。でも、野菜はたっぷり食べられるし(結局、白菜半玉食べた)、春雨でお腹一杯。なによりも、ものすごく体が温まる。やっぱり美味しかったです、ピェンロー。また作ろう。