月別アーカイブ: 2015年5月

みずと豚肉の炒めもの

カテゴリー: 夕食 | 投稿日: | 投稿者:

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直江津の「三・八の市」で買ってきたみずと豚肉で、ごくノーマルな甘辛味の炒めもの。味は特にないんだけど、歯ごたえがよくて、噛むとかすかにぬめりがあって美味しい山菜です。お浸しが一般的なんでしょうが、癖がないのでどう食べてもいいので今日は炒めちゃう。

みず(地元の人は「みずな」と言っていた)は、葉を落とし、さっと湯がいて食べやすい大きさに切り分けてから使います。根元の部分は赤みを帯びているだけど、湯がくときれいなエメラルドグリーンに変わるのが楽しい。ふきみたいに皮をむいた方がいいんだろうけど、めんどくさいのでしなかったが、まぁそんなに筋っぽくなかったので結果オーライ。

食べやすい大きさに切った豚バラ肉を炒め、しっかり炒めた後に酒を降り、水気が飛んだら砂糖を振り入れて溶けるまで炒め、最後に醤油を回しかける。酒、砂糖、しょうゆの割合は、おおよそ、1:1:0.7くらい。甘辛味に作るときは、こんな風にダイレクトに調味料を入れながら作っても大丈夫になってきました。甘辛味に関しては、ようやく味の塩梅を身体が覚えたのかもしれません。

ご飯の気分じゃなかったので、うどんを茹でる。夫はおかずを食べてから、めんつゆでうどんをすする。私はうどんの上におかずをのっけてよく混ぜて、何となく焼きうどん風にして食べる。

レイズンウイッチ

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帰宅すると、なぜか、代官山小川軒のレイズンウイッチの箱が! なぜ!? と聞くと、仕事で代官山に行ったので、なんとなく買って帰ろうか…と思って、と。おおー、よくぞ、「代官山」に、「小川軒」があって、「レイズンウイッチ」が売っている、ということを覚えていましたね! しかし、予約もせずに夕方にふらっと行って、よく買えたね。

夫が手土産を持ち帰ること自体珍しく、それだけで十分ありがたいのですが(酒井順子さんの『ひとくちの甘能』というエッセイの中にレイズンウイッチを書いた一篇がありますが「(レイズンウイッチは)自分で買うのではなく、人からもらうから嬉しいお菓子」とあって、本当にそう思う)、まぁしかし、さすが小川軒。とても美味しくて、ありがたい気持ちはより増し増しに。

さっくりしっとりが程よく同居するビスケットに、さっぱりしたバタークリームが薄く塗られ、かすかに独特のシブを残しつつも品良く漬け込まれたレーズンがたっぷり挟まれていますが、この3者のバランスがすばらしい。一口食べるごとに「おいしいなー」と思い、それを繰り返しているうちに、いつの間にか食べ終わっている。そしてもう1枚手が伸びる…(2枚で我慢しましたが)。

以前、百貨店で限定販売しているのを買って来たことがありましたが、その時食べたのと今回のはまるで別物。この違いっぷりは何なんでしょう…、本店で出しているものとは違うってことなのでしょうか。まぁ、とにかく、美味しかったです。ありがとう!

きょうもビビンバ

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昨日のビビンバがまだ残っているので、今日もそれで晩ご飯。とはいえ、少しずつ量が足りないので、ほかの山菜たちと同じ日に買った雪下人参で炒めナムルを作って追加。

雪下人参って、上越地域の名産品の一つですが、ものすごく甘いか…と言われるとよく分からず。ただ、身の決めはかなり細かくて歯ごたえを残して炒めている割に、シルキーな食感だなぁと思いました。スープにしたほうがより美味しさをい引き出せたのかも。とはいえ、人参のナムルは私は大好きなものの一つなので、もちろん美味しく頂きました。

昨日あく抜きしたわらびですが、若干、あくが残っているような…そんな気もかすかにしたので、今日はおかかマヨネーズ和えにしました(ほんのちょっと薄口)。これが大正解。ジャンキーっぽいけど、意外にわらびと合っているし、美味しい。

なんたって豚の角煮』の中に、佐渡に移住した著者(土屋敦さん)が、移住した当初は山菜の季節になると、ありがたがってせっせと食べていたところ、数年たったころには山菜を食べると具合が悪くなり、見るのも嫌になってしまっていた…という話があります。土屋さんによれば、都会の人がありがたがる山菜特有の苦みはあくであり、それは毒なのである。だから地元の人は、グダグダになるまでゆでたり、ド甘な味付けをしたり何て食べ方をするけど、それは山菜を長く食べ続けるための生きる知恵なのだ…と。

このエピソードは本筋の角煮の話並みに印象深かったのですが、おかげで、山菜をマヨネーズで和えて食べることも全く抵抗なく実行できるようになりました。無理せず美味しくいただくことも、大事なこと、ですよね。

ビビンバ

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上越旅行の際に寄った「三・八の市」で購入した野菜たちをナムルにし、ビビンバにして食べる。参考にしたのは、例のごとく、コウケンテツさんの『コウケンテツの韓国料理123』。この本に載っている牛挽き肉のそぼろのレシピは、我が家では宝物です。久しぶりに作るので、ちょっとおごって、今半で買いました(切り落としですけど)。

「三八の市」で買ってきたもののうち、乾燥ぜんまいは、お店のおばちゃんの説明通りにあくを抜き(ゼンマイと水を鍋に入れて火にかけ、ぐらっと沸騰する直前で火を止めて、冷めるまで置いておく)、コウさんの本の通りに炒めナムルに。せりは、さっと茹でて茹でナムル(普段食べているせりと違って、三つ葉みたいな香りと味。ワイルドな味わいだったのでナムルにして大正解!)。

わらびは、最近古本屋で買った『季節を料理する』に載っていた方法の通りにあくを抜いて、おかかしょうゆで。

市場で買い物してきたものを家で料理して食べるって、旅行を2度楽しんでいるみたいで、なんだかいいですね。帰ってきたばかりでいうのもなんだけど、また行きたいなー。

駅弁とワンカップ

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大宮駅で少しのんびりしたとはいえ、8時には帰宅。そこそこ旅行の回数を重ねるとものぐさ夫婦も少しは賢くなるもので、帰宅したら、まずはさておき、着替えと荷物整理をしてしまう習慣が付きました。

全部片付けて、着替えもして、さっぱりしてからようやく最後の駅弁タイム。直江津を離れる際にホテルハイマートで受け取った、「鮭めし」と「するてん」。色々食べたけど、最終的には、我が家では、「鱈めし」「鮭めし」「するてん」が1番のお気に入りだと言うことが分かったのでした。なお、ハイマートの駅弁は、ホテルと直江津駅だけでなく、上越妙高駅内の駅弁屋(山崎屋)でも販売しています。皆様も、北陸新幹線に乗った際にはぜひお試しを。美味しいよー。

駅弁のお供に鮎正宗の鮎カップ(鮎正宗の普通種)。

私は、いろいろこんまいものをちまちま集めるのが好きなタチなのですが、ここ数年、こそこそと続けている収集品の一つに、ワンカップがあります。柄が可愛いからというのが第一ですが、もともとお酒が好きで、色んな種類を飲んでみたいけど、でもそんなに強くない私にとっては、うってつけのお土産なのです。

無地のガラスカップにラベルを貼ったものは不可、ガラスに直接プリントしてあるものだけに絞って集めているのですが、意外とこの条件厳しいようで(やっぱり、直接プリントしてあるカップって単価が高いんでしょうね)、ここ5年ほどで20個ちょっとしかないのですが、しかし、かなりしまう場所に困るようになってきました(何とかせねば…)。

鮎正宗の鮎カップは、時々購入する日本酒のネットショップで扱っていて、買ってしまおうか、どうしようかと数年悩んでいたブツのひとつだったので、直江津の商店街の酒屋で見つけた際に即買い。現地で買うことにこだわりがあるわけじゃないですが、まぁ、直接買えるならそれに越したことはないよね、とは思います。清流を泳ぐ鮎の絵が、爽やかな印象。味もそのイメージ通りにすっきりしており、瓶で買ってもすぐに呑み切れそう。するてんのお供にも最高で、楽しい旅を反芻しながらの晩ご飯でした。

これだけ休むと、明日はもう会社かよ、だるいなーという気持ちもなくはないものの、さぁ頑張りますかという気持ちのほうが強く出る。やっぱり、しっかり休むって大事だなぁ。

上越方面へ旅に行っていました(3日目)

最近は旅行と言っても1泊がほとんどで、ときには日帰りで済ませてしまうこともままあるなかで(昨年の八戸日帰り旅行[]は私の中では伝説)、2泊となるとなかなかに贅沢な気分。十分に中年と言われる年齢になってみてようやく実感するのですが、「自由時間が沢山ある」ということは最大の贅沢だよな…とつくづく思います。

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我が家は朝4時起床なので、基本、旅行先でもその時間に起きます。朝食はまだだし、やることもないので街中を歩く。ちょうど、「旅情のまち 日本海・直江津 まちあるきガイドマップ」というパンフレット(地図)を貰っていたので、せっかくだから、お勧めの見所を順に廻ってみることに。

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直江津はもともと砂丘を固めて作った街だそうで、海辺に向かうにつれて登り坂になっています。ならさずにあるがままに固めた土地の上に街を作っているので、起伏が多く、道の入り組み方が複雑。不思議に人の気配もあまり感じられなかったため、白昼夢の中にいるような…そんな雰囲気に満ちていました。

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直江津の1番のシンボルとも言えるのが、旧直江津銀行前のライオン像だと思います。直江津銀行自体は、明治43年に取り付け騒ぎを起こし、大正4年には解散していて、それ以降建物は地元の実業家に買い取られて近年まで事務所として使用されていたそうです。

このライオン像、確かにかなりフォトジェニックで、どう撮ってもそこそこサマになる。市のホームページによると、建物を買い取った高橋達太氏が日本橋三越前のライオン像を真似て造ってと注文して作らせたものとありました。三越でライオン像がお披露目されたのが大正3年、高橋氏が直江津銀行を買い取ったのが大正7年頃という話なので、「三越=ライオン」のイメージはすでに当時相当広く知られていたのでしょうね。
せっかくなので、日本橋三越のライオン像は誰が造ったのかな? と調べてみると、当時の三越支配人・日比翁助がイギリス視察旅行の際にトラファルガー広場のライオン像をモデルに、イギリスで作らせたものなのだそうです。そういえば、わたくしは大昔にトラファルガー広場に行ったことがあるので、このライオン像も写真に撮っているはずなのですが、今はどこにあるのやら…。それはさておき、トラファルガー広場、日本橋三越、直江津銀行と、3つを見比べてみると、少しずつ違うのが面白いなぁと思います。

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しかし、この建物、相当に和洋折衷。洋館の上に瓦葺き。イニシャル入りの飾り瓦がモダンです。
また、煉瓦造りの建物というか、煉瓦の壁も直江津のモニュメントのひとつ(元々は建物だったけど朽ちてしまって壁だけが残っている)。直江津の街は常に海風が吹くため、ひとたび失火があるとあっという間に街中を焼き尽くされてしまうというデメリットを持っています。そのため、明治以降になると、経済的余裕のあるところは煉瓦造りの建物や煉瓦の防火壁などを作ったそうで、街中にはその残骸がちらほらと見られます。

こんなあれこれを見ながら1時間ほどぶらぶらしてホテルに帰還。朝食を食べて、予約した駅弁を引き取って、チェックアウト。最終日の最後の目的地、春日山城(跡)へ向かいます。

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まぁ、なんとも、不便なところにある城で…(便利なところにある城ってのも問題だけど)。車があればラクチンですが、電車オンリーの観光客にはなかなか行くのにハードルのある立地です。
幸い春日山城周辺をつなぐ観光バスがあったのでそれに乗って、いざ! と、麓に到着して、待っていたのは、急な階段(階段の両脇に「公明正大」「大義名分」の石碑が建っているのがなんとなく上杉謙信っぽい感じ)。

ただ、「城」といっても、山城だし、しかも、今は本当にただの山になっておりまして、あちこちに立つ「○○跡」の看板を見ながら、想像力逞しく脳内再生していくしかないわけです。
かなりきれいに整備されてはいるのですが、とはいえ足下はあまりよろしくなく、旅行に行くたんびにさー、トレッキングしてるよねー、とハァハァいいながらひたすら急な階段や坂道を上ります。一応観光地なので、地元のそこそこ若いカップルがデートがてらにいらっしゃっているのを数組見かけましたが、彼女たちは一様にサンダル&日傘で登り切っておられて、若いってすごいなぁ…としみじみ感じ入った次第です。

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本丸跡に立つと、想像以上に見晴らしがよく、かなり広範囲を見渡せます(直江津の海までしっかり見えた)。春日山は標高180mほどだそうで、昨日高田城の櫓から見たときには「ちんまりした山だなぁ」と思ったのですが、下から見るのと上から見下ろすのでは、だいぶ印象が違います(左の写真は数百メートル離れたところから撮ったものですが、ちんまりしてるでしょう)。
かつてはここに建物があって、名だたる武将がそろって話し合いなどをしてたのね…と思うと、不思議な気分になる。

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春日山山頂からの素敵な景色を見ながら、きょうも駅弁を頂きます。天気がよくてよかったなぁ。
ハイマートの駅弁も食べられるのはあと2回だから、悔いなく食べたいものを食べておこうね…ということで、夫は「鮭めし」、私は「鱈めし」。
鱈の甘露煮の甘辛味に、半生たらこの塩辛さ、酢の物の酸味、それにほんのり昆布のうまみを含んだご飯。このバランスがとてもよくて、最後まで食べ飽きない。漬物も、わさび漬け、奈良漬け、はじかみと、わたし好みなものばかりなのもいい。
「鮭めし」も大変に美味しいとのこと。よかったよかった。

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順調に山を下って(夫は古い石垣とか土塁に反応するタチなのですが、二の丸後の当時のものと思われる土塁を見て喜んでいた)、謙信公の像が見下ろす茶屋で「新潟産コシヒカリモナカ」。コメ粒は言われなければほぼ感じなかったのですが、アイスがさっぱりしていて美味しかった。

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林泉寺によって、上杉謙信のお墓を見て、館長さんの解説(非常に流麗かつ臨場感のある解説でした。一通り解説し終わった後、「これであなたたちも謙信公だ!」と太鼓判を押され、別れ際には「謙信公をよろしく!」とグッドラック的な感じで言われたときには本当にそんな気分になりました)を伺いつつ宝物館を見学。
上杉謙信の直筆のあれこれが結構残っているのですが、どれもこれもものすごく男らしい字で、書かれてる文字もなんか男らしいスローガンみたいなものが多くて、なんかスゴイ…。山門にかかってる「春日山」の字も、上杉謙信の手によるものだそうです。上杉謙信には「実は女だった」という(与太系の)俗説がありますが、私も歴史系の与太話は嫌いじゃないですが、あの字を見た後には絶対にそれは信じられん。

ホテルハイマートへ戻って、預けていた荷物と、最後のお弁当を引き取る。3日間、昼夜ひたすらに駅弁をお願いをするなど、たいへんお世話になりました。3日間で14個かぁ…、よく食べたなぁ…。やりきった感半端なし。

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最後に商店街をぶらぶらして、初日から気になっていた「なおえつ茶屋」という珈琲屋さんに入る。聞けば、ふだんは日曜は開けないそうですが、何となく今日はたまたま開けたとのこと。先客が数人いましたが「あら、お客さんが来てくれるなんて、今日は開けてよかったわー」となんとも魅力的な雰囲気の女性が迎えてくれました。
この女性の舞台写真が何枚も飾られていたので、踊りをされてるのかな…と思ったら、この女性、花柳紀寿郎(はなやぎのりじゅうろう)さんという現役の舞踊家で、現在は直江津周辺で月に1回ほどのペースで林芙美子をテーマにした創作舞踊を発表しているほか、神戸などへ踊りを教えに行ったりなどもされているそう。話しの流れで年齢を伺ったら74歳とのお答えにびっくり(10~15は若く見えた)。日本舞踊をされている方って、体幹を鍛えているせいでしょうかね、若々しい方が多いですよね。

絶妙の間合いで色々お話ししてくれるのがとても素敵なのですが、コーヒーがものすごく美味しくて、これまた素敵だなぁ、と。アイスもホットもものすごく好みの味。聞けば、自分で生豆を取り寄せて自家焙煎しているそう。
「どうせ店をやるんだったら、愛するコーヒーを徹底的に極めたいと思って」と仰っておられましたが、独学でもこんなに美味しいコーヒーが淹れられるんだなぁと、私自身も普段あれこれ試行錯誤しているので、いいお手本を見せて貰ったような気分。旅の締めくくりにピッタリの時間が過ごせたような気がします。

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最後の駅弁は、やはり駅弁らしく、ほくほく線の中で食べよーと思っていたのですが、ちっともお腹がすかないので残念ながら持ち帰り。
その代わり、大宮駅構内のサザコーヒーのスタンドで、ソフトクリームとアイスコーヒー。昨年の八戸日帰り旅行の際に食べたのが無性に美味しかった記憶があって、今回もついつい寄っちゃいました。今日も美味しい。

その後、埼京線~武蔵野線と乗り継いで帰宅し、自宅でワンカップ飲みつつ駅弁を食べて旅のシメと相成りました(駅弁は次の記事で)。あぁ、楽しい旅行でした。

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上越旅行記、ようやくおしまい。ふー、お疲れ様でした!

上越方面へ旅に行っていました(2日目)

だいたい「食べることが好き」な人ってのは、「市場や商店街を覗くのも好き」と相場が決まっているもので、旅行となると殊更に、そういうところに行きたがるものですが、とはいえ、そんなにうまく日程が合うことはそうそうありません。

ところが、上越市の観光紹介のウェブサイト(上越の朝市)を見ると、この地域は昔から朝市が定期的に催されてきたようで、今も4つの大きな市が立つとのこと。しかも、今日はそのうちのひとつ「三・八の市(さんぱちのいち)」の開催日(3と8のつく日に立つ市なので、3、8、13、18、23、28日と、月に6回も開かれる)。直江津で開かれる市だったのもラッキーってことで、朝ごはんを食べてから、そそくさと出かけたのでした。

ところで、上越市のホームページ内に「朝市おもしろ発見100」というページがありまして、朝市で実際に見かけたり買ったりしたものを100個紹介しています。10年ほど前の記事ですが、これが大変に面白い。ここに出てくるものを見るだけで、いわゆる観光市場ではなく、地元に密着した日常の市場なのだな…ということがよく分かります(野菜や漬物だけでなく、またたびの実とか、山椒の木で作ったすりこ木とか、藁で編んだ郷土玩具っぽいものとか、そんなものまであって萌え萌えしながら読んだ)。

が、気合を入れて8時20分ごろに行ったにも関わらず(開場は8時)なんていうか、お客どころか、お店がまばら。時間通りに開いても特に誰も来ないってところがまた地元っぽい感じでいいな…と思いつつも、仕方なく、海岸まで出て穏やかな海をみながら、ぼんやり時間をつぶす。

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この日の海は穏やかで釣り人多数。後ろを向くと雪をかぶった立山連峰が見えます。内陸の平地育ちの人間にとっては不思議なロケーションです。
夫は、「海なのに磯臭くない! 海辺なのに臭わないんだったら、海辺の町に住むのもいいな!」と何度もつぶやいていました。確かに、海辺にはお約束の「磯の香り」というのは全くしません。その代わりといっちゃなんですが、常に海から風が吹き続けているのです。「常に海風が吹いている」というのは、この地域特有の気象だそうですが、この日はいい季候だったせいで、吹き付ける風が穏やかで大変に心地よかった。

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夏の海岸って意外と植物の宝庫だったりしますよね。今回、妙な克己心(たまには一眼レフの練習もしないとな! という訳の分からないヤル気)が沸き立って、カメラは一眼レフ+単焦点レンズの組み合わせ1本だけを持っていったのですが、なんといいますか、結果的に言うとちょっと失敗…だったのですが(やはり広角ズームのコンデジも持って行くべきだった)、天気のいい日に花を撮るにはバッチリではありまして、まぁまぁきれいに撮れたような気がします。きれいに撮れるのがうれしくて、旅の目的である駅弁以上に枚数を撮る。

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おそらく今回の旅で一番よく撮れた一枚。ただ、何て名前なのかわからないし、これが群生している様は、なんともグロテスクな雰囲気でした。

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上越市は小川未明の出身地でもあるそうで、彼の名を冠した文学館や文学賞も主催しています、市内全域で彼や彼の作品に関するモニュメントなどが見られます。これは、『赤い蝋燭と人魚』の銅像。この後ろで、夫は暑さでへばっておりました(ものすごく面白い写真が撮れたのですが、気の毒なのでアップするのはやめました)。

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8時40分ごろに行くと、もうすでに目的のブツを買ってさっさと帰る人ともたくさんすれ違いましたが、ほんとにほぼ地元の人。
三八朝市通りという300mほどの道路の両端に、2畳ほどのサイズのシートを広げて商品を並べたお店が並びます。もうちょっとわかりやすい写真も撮ってくればよかったんですけどねぇ、買うのに一生懸命で写真なんか頭にありませんでした(一番レフだといちいち取りだすのがめんどくさいというのもある。やはりコンデジも必要だよな…)。

多かったのは、農家のおばあちゃんが個人で野菜や山菜を売るお店。今はやはり山菜の季節で、わらび、赤みず、淡竹。あとは、今が旬のホウレンソウ。いかにも抜きたてでみずみずしくて美味しそう。里芋もどこでもよく見かけました。里芋って今が植え付けの時期でもあるので種芋もあちこちで売られていましたが、そのためか、「たべる里芋」と添え書きしているお店もあって、笑った。

買いたいものはあれこれありましたが、もう一泊するのでそうそう買いこめん…。うーんとあれこれ悩んで、わらび1束、赤みず1束、せり1束、わさび1束、雪下人参1袋、乾燥ぜんまい(太)1袋、芋がら1束、ちまき(5個入り)、はばのり(40グラム)。帰宅後、わらびはあく抜きしてカツオマヨ和えに、赤みずはお浸し、セリと雪下人参と乾燥ぜんまいはナムル、わさびはわさび漬けになりました(料理の写真は後日登場する予定…)。
農家のおばちゃんのお手製佃煮とかキムチも気になったのですが、さすがにね…ってことで今回は断念。私のいかにも観光客風情な風貌から、どの店のおばちゃんもやさしくて、あくの抜き方や食べ方を聞かずとも教えてくれるのが、またうれしい。市場って楽しいね。ほんと、もっとちゃんと写真も撮ってくればよかったよ。

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昨日直江津に降り立った時も「人けがないな…」と思ったのですが、今日は輪をかけて静かで、なんていうか不気味だったのですが、小学校で運動会が開かれていると知って納得。しかも市内全域の小学校が運動会だったようで、土曜だからそもそも店は閉めているけど、その上大人も子供も小学校に集結するから、より町中には人気なし…という状況だったのもかもしれません。

にぎやかさにつられて、目についた小学校の運動場にふらりと紛れ込んで、しばらく眺めてみる。プログラムをみると、園児や大人も混じっていたので、小学校だけでなく、近くの幼稚園や青年団なども一緒にやっているのかもしれません(生徒自体は100人いない感じだった)。
しかし、私が子供のころの運動会と比べると全体的にタルっとした雰囲気だなぁと思う。でも、所詮運動会なんてお祭りなんだから、これが正しい在り方だよな…と、運動会が嫌いだった私は、そう思ったのでした。


ホテルに戻って駅弁を受け取ってから、電車(えちごトキめき鉄道の妙高はねうまライン)で高田に移動。
直江津-高田間は2駅で8分と大変に近いのですが、ただ、運行本数が1時間に1~3本なのがミソ。待ち時間も含めるとだいたい30~40分ほどかかるというところが、近いんだけど近くない微妙な距離感を感じます。地方の人からすると1時間に1~3本って普通だよと思う人も多いでしょうし、慣れの問題に尽きるのですが、やはり長く感じます。あとですね、直江津駅にはIC対応改札口があったのでついスイカで入場してしまったのですが、えちごトキめき鉄道はスイカ非対応で焦った(結局、現金で払いなおして、証明書を出してもらって事なきを得た)。旅に日常の感覚を持ち込んではいけないなぁとつくづく思い知らされたのでした。

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ところで、高田といえば、徳川将軍家ゆかりのお武家さんをお殿様に迎えて繁栄した城下町だそうで、なかなかの観光地……だと思っていたのですが、駅に降りてびっくり。誰もおらんのよ。誰もというと語弊があるけど、でも、ほぼ人がいない。
去年が開府400年記念ということで大々的にイベントを開き、駅前もきれいにしたそうで、実際駅舎から駅前商店街に至るまでとてもきれい。なのにほとんど人がいないので、異様に不気味だった。

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ドキドキしながら高田公園(高田城跡地)まで歩いて、ようやく人の気配が感じられてきたのでホッとする。大きな競技場では近くの中学校か高校か、合同運動会が催されていてここでも運動会。昭和育ちの私は、運動会と言えば秋なのですが、いまや初夏にやるのが当たり前なのですよねぇ。

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花が咲いたらさぞやきれいだろう…と思わせる一面蓮が浮かぶ池の前のベンチでようやく今日の駅弁。夫は昨日のおじさんのお勧め通り「鮭めし」、私は「するてん」。

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鮭めし
ハイマートの看板駅弁「鱈めし」と同じ容器に詰められており、構成は似ています。「鱈めし」と同じく、ご飯は錦糸卵を乗せた昆布の炊き込みご飯、その上に焼いてほぐした鮭がたっぷり。いくら、ガリ、奈良漬に、シロップ漬けのあんず。
この鮭が大変においしかったそうで、夫は今回食べた駅弁の中ではこれが一番美味しかった! と言っておりました。

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するてん
昨日食べた「鱈めし」「磯の漁火」と、これが目的だったので、ウキウキしながら食べる。
上越市のご当地グルメである「するてん」は実際に食べてみると、柔らかくて食べやすい。軽く干してあるからか塩加減も絶妙で、これはお酒が欲しくなります。するてんとわさび漬けで軽く呑んで、おにぎりとゆでたまごでシメ(このおにぎりがほんとにごく普通のおにぎりで、それが無性に美味しい)。オレンジで口直し。シンプルで大満足の組み合わせです。あぁ、カップ酒のひとつくらい買っておけばよかったなぁ。

 

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腹ごなしも兼ねて、小林古径邸、小林古径記念美術館総合博物館高田城三重櫓と見て歩く。

小林古径邸は馬込にあった自宅を移築したもので、数寄屋造りらしい上品な雰囲気が、いかにも文化人の家だなぁと感じます。小柄な私ですら屈んで歩いたほうがいいのかな…と思うほどに、全体的に天井が低く、それが全体的に小ぢんまりとした温かみを醸し出しているような気がしました(写真左は庭から書斎を写したもの、右は書斎から庭を臨んだもの。書斎はより天井が低く、薄暗く、穴倉っぽい雰囲気。考え事をするには最高だろうな…と思わせる空間でした)。あと、純和風建築なのに台所だけが洋風ってのにもびっくり。家族の要望だったのでしょうか、そういうのを考えるのも楽しい。

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高田に来た一番の目的は、「雁木」を見るためだったので、雁木が残っているメインストリート(雁木通り)をてくてく歩いてみる。

雁木(がんぎ)とは、豪雪地帯(主に新潟)に見られる建築のひとつで、見た目には大きな軒(庇)のようなものです。事実、上越市のホームページには「庇を延長したもの」と紹介されています。
厳寒期の通路を確保するために生み出されたものですが、一番重要なのは、この雁木は私有地だということです。
道路に面した部分は庇を伸ばして雪を除け、誰もが往来できる通路を確保する。みんなが少しずつ自分の土地を公共に提供して日々の生活を守るという互助意識そのものが、雁木の特徴といえるのかもしれません。

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高田は残存する雁木の総延長が16キロもあり、日本一とのこと。
さすがに16キロも歩けないので(しかも、かなり細切れに点在している)、町中の数百メートルだけ歩いてみましたが、ガイドブック等で紹介されている古風な雰囲気のものだけでなく(こんな感じ)、昭和後半チックなトタンやプラスチックなどのチープな感じの雁木も沢山ありました。というか、むしろ後者な雁木のほうが大多数で、(勝手に)小京都的なイメージの小径を想像していた私たちは、若干肩すかしを食らった…とも言えます。確かに文化遺産なのですが、なんていいますか、普通に道でもありますからねぇ(他人様のブログですが、ものすごい量の雁木の写真を撮られた方がいたので勝手にリンクを貼ってしまう。こう見ると、やっぱり圧巻だな…とも思う)。


妙高はねうまラインで直江津に帰って、予約しておいた駅弁を引き取って晩ご飯。もうすでに、4度目の予約&引き取りなんだけど、ここまで繰り返すと、なんだかちょっと恥ずかしい気もする。

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今日のお弁当は、「愛のご膳」「親子にしん」「海の幸弁」。

海の幸弁のパッケージには、郷土の偉人として、上杉謙信、前島密、川上善兵衛の3人が印刷されていて、なんだか物々しい。ちなみに、川上善兵衛さんは、岩の原葡萄園というワイナリーを築き、マスカットベリーAというぶどうを育て上げ、「日本ワインの父」といわれるお人です。岩の原葡萄園も行ってみたかったですけどねぇ、ちょっと遠いので今回は断念いたしました。

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愛のご膳
いわゆる冠婚葬祭や会議用のお弁当なのだと思いますが、看板弁当のおかずを盛り合わせた、なかなかお得なお弁当だと思います。
左上は煮物と焼き鮭ほぐし、右上はにしんの甘露煮、焼きたらこ、鱈と数の子の酢の物、わさび漬け、右下はするてん、ツブ貝煮物、笹団子、左下は五穀米にキューちゃん漬け、ガリ、梅干し。

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親子にしん
昨日食べた「ほたてご飯」と同じ容器。白飯の上ににしんの甘露煮と数の子の煮物が乗っかっております。甘露煮は昨日食べた鱈よりも甘めな気がしましたが、これはこれでグー。個人的にはもっと数の子が食べたい! と思いましたが、致し方ないですかねぇ。
美味しかったですが、しかし、にしんの甘露煮と数の子の駅弁と言えば北海道。「鯡みがき弁当」目当てに函館に行くのもいいなぁ…なんてことも思ってしまいました。

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海の幸弁
開けた瞬間、「あれ?『親子にしん』を2つ買ってしまったか?」と思ったほどに、見事にダブりましたねぇ。「愛のご膳」と同じく盛り合わせのお弁当なのですが、メインがにしんの甘露煮。これは予想外でした。ほか、ほたての甘辛煮、するてん、甘海老から揚げ、ガリ、わさび漬け、キューちゃん漬け。
美味しかったけど、すでに数種類の駅弁を食べている身からすると、若干の物足りなさもアリ…。

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朝市で買ってみたちまき。
餅米を笹の葉で包んで茹でただけなんだって。笹の葉って珍しいな…と思ったけど、笹団子が名物の地位なんだから、むしろここでは笹の葉って普通なのよね、きっと。
これを売っていたおばさんは、「きなこ付けたり、甘いのが苦手な人は醤油付けたりして食べるの」といって、うぐいすきなこを添えてくれた。
1つは小ぶりのおにぎりぐらいのサイズだけど、餅米だけあって、ややずっしり。弁当を1.5個も食べた後に入るかな…と思いつつ、きなこをたっぷり付けて食べると、これが、やたらと美味しい! 餅米がうまいのか、きなこがうまいのか。5個を2人でするっと食べてしまった。何がどうというわけではないのだけど、妙に印象深く、忘れがたい、素朴な味なのでした(笹巻きのちまきの作り方を紹介しているブログがありましたが、しかし、難しそうだなぁ)。

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せっかくなので今日もお酒飲んでます。「RIFINED SAKE」。んー、なんだー? と思いましたが、「清酒」ってことなのね(能鷹の何か。何を飲んだのかは忘れた)。
今日もよく歩いて、よく日に当たって、よく食べた1日でした。いい具合にすっからかんにリフレッシュしています。