日別アーカイブ: 2019/11/20

ポンヌフ

汐留に泊まった時に困るのがお昼。汐留だとチェーン店しかないし、新橋だと忙しいサラリーマン御用達の店みたいなのが多くて、私のようなさっと食べてさっと出るというのが苦手な人間には、行ける店が少ない。めったに来ないから、あんまり知らないし。

少し遅いお昼はどこにしようかな…とだいぶ悩んで、そういえば新橋って、ポンヌフがある…と思い出して、ランチタイム終了ギリギリに滑り込む。迷惑だったかな…と思ったら、私の後にも数人駆け込んできたので、ああよかったとホッとする。

だいぶ昔に、おくがわじゅんいちさんの『ナポリタン』というリトルプレスを読んで覚えた店なのだけど、ようやく行けた。だけど注文したのはナポリタンじゃなくて、ハンバーグスパゲティセット。よくばりなので。

出てきたのは、お子さまランチみたいな、とってもかわいい一皿。これは気分がアガる。食べるとなかなかのボリュームなんですけど、嫌な感じじゃない。見た目、パワフルな味付けなんじゃないかと思いきや、ほどよい塩梅の後引き系で、普段なら相当苦しい量のはずなのに、すんなり食べられました。おいしかったです。

食べ終わったタイミングで、プリンとコーヒー。これがまた、お子様ランチっぽくて泣ける。

プリンはあっさりプルプルで、これまた懐かしい味。テレビ局が近いので、時間的なこともあってか、周りはテレビマンぽい人ばかりで、いろいろギョーカイだなーって話をしていました。そういったがやがやした感じも含めて、いい感じにレトロなお店でした。

お昼を済ませて歌舞伎座へ。吉例顔見世大歌舞伎の夜の回を観に行きました。演目は、菊畑、連獅子、市松小僧の女です。

菊畑は、中村梅丸さんが中村莟玉に名を改める、襲名披露公演的な意味合いもあって、非常に良い雰囲気。梅丸さんを始めて観たのは、だいぶ昔に国立劇場で「日本振袖始」の稲田姫を見て、なんつーきれいな顔の役者さんや、演技もうまいし、と印象深かったのですが、それからもう10年近く経つのですね。

連獅子は、高麗屋の親子によるものでしたが、なんかこう、連獅子って、演じる組み合わせでだいぶ雰囲気変わるんだな…と、初めて実感した気がします。お父さんのほう、少しテレが強いんじゃないでしょうか。もう少し優しさを見せてもいいような気がしたのですが、私の気のせいかな…。

市松小僧の女は、池波正太郎原作ということで一番楽しみにしていましたが、面白かった。梅幸さん、又五郎さんに当て書きされた三部作のうちのひとつとのことで、『又五郎の春秋』にも少しエピソードがあります。今回は、時蔵さんと鴈治郎さんで年の差夫婦をやられましたが、キャッキャウフフなシーンも意外と違和感なく楽しめました。

新歌舞伎なんですけど、でも、やっぱり戦前生まれの作家が書かれた市井物なので、ある意味通好みというか、本気で楽しめるのは40代くらいまでだろうな、とは思いました。なので、今のうちに、後数回は再演して欲しいです。

歌舞伎を観終わって、ホテルに戻る。私は、建物の中に突如現れる曲線が無性に好きなのですが、止まっているホテルのある建物は、なかなか良い曲線が多く、それだけで私の中ではよいホテル認定されています。

昔のSFっぽい感じが気に入っています。

ホテルのロビーで、ジントニック。ポンヌフのおかげで、幕間中も、芝居が終わっても、全然空腹感がないです。すごい。

岩佐寿しとセンリ軒

ゆりかもめの始発に載って豊洲市場へ行く。

ゆりかもめで一番楽しいのは先頭車両の一番前だから、そこが空くと、ついついうれしくなって、年齢を顧みず席まで走ってしまう(しかし、年少者や旅行者が座りたそうにしているのなら、そこは譲りたいとは思っている)。始発だと、これから仕事だよという人ばかりだから一番前の席への興味なんてない人が多くて(それよりも寝てたいという感じ)、おかげさまで今日も無事に一番前からの景色を堪能できたのでした。

初めての豊洲市場は、わけわからな過ぎてまぁ大変でした。

豊洲市場は大きく分けると、建物が、水産卸売場棟と水産仲卸売場棟と青果棟の3棟に分かれています。それに伴って、飲食店も3か所に分散しています(ということも知らなかった)。それぞれの棟はそれなりに結構距離があり、案内板も分かりづらいので、もしお目当てのお店があるのなら、どの棟にあるかと開店時間をしっかり確認してから行った方がいいと思います。お店によって開店時間がかなり違うので、時間の確認はほんと大事。

色々サイトはありますが、豊洲市場の場内飲食店の組合が作っているサイト「豊洲ぐるめ」を参照するのが一番良さそうです(当時はこんなに情報が充実してなかった)。

うろうろ迷いながら水産仲卸売場棟について(駅からここまでのルートが分かりづらくて、迷った)、お寿司にしようとは思っていたのだけど、築地の時は大行列ではなっから諦めていた寿司大か大和寿司にしようとぐるぐる回ったら、何と寿司大は6時ちょっと過ぎにもかかわらず、すでに行列が。じゃぁ大和寿司…と思ったら、どこにあるかわからない(正解は青果棟)。

意外とまだオープンしていない店舗も多く、仕方ない…という言い方は適当じゃないけど、岩佐寿しへ。ここの「貝づくし」は一度は…と思っていたので、サクッと入れて、ラッキーでした。

貝づくしは、貝ばっかり7カン+巻物。一つずつ説明してくれたんですが、何か慌ただしく食べちゃいましたね。なんていうか、ちょっと緊張しちゃいました。シャリは、赤いお酢を使った堅めのご飯をみっちり握った感じ。量もしっかりある感じでしたが、でも食べると軽かった。やっぱりあわびが良かったなぁ。でも、意外と、ヒモきゅうもよかった。

夫はお任せを注文。こはだやエビも入った、オーソドックスなコースでした。

市場の様子を上からのぞくような形で見ることが出来ると確かテレビで言っていたよな…とおぼろげな記憶を引っ張り出して、水産卸売場棟にたどり着いて、ようやく見学。

ここに行きつく通路のようなところに飲食コーナーがあって、そこに八千代とか茂助だんご、トミーナなどがあったことに気付く。コーヒーアーンで淹れるミルクコーヒーとかわいいジャム&バタートーストで有名だった愛養は天ぷら屋さんになってしまったと聞いていたけど、本当だった。しかも、高級天ぷら屋さん。店先のメニューの価格を見て、あー、お昼しか行けないなぁ…と思ってしまった。

もうセリなんかとっくに終わって、コチコチの冷凍マグロをフォークリフトみたいなもので寄せたり持っていたりしているのを見ると、あれって食べ物なんだよな…と不思議な気持ちになってきます。

同じような写真ばかり載せてるけど、楽しくてずっと見ていられる。

ターレ(ターレットトラック、というらしい)が展示されていて、乗ってもいいということなので、乗って記念撮影しました。ハンドルが重い。最高時速は15km/hだそうですけど、意外。近くで見ると、もっと出ているように感じる。

うしろに「歩行者に配慮」という貼り紙がありますが、これは市場のあちこちで見かけました。せっかく新しく作った施設なんだから、その辺は設計やデザインで人に負担を強いない形にすればよかったのに…と都民でもある私は思ったのでした。

冷たい風に吹かれながら、再び水産卸売場棟に戻り、センリ軒でミルクコーヒーとプリン。いつか、ここのカツサンドと玉子入りシチューも食べたい。

豊洲市場に来て一番印象的だったのは、屋上かも。素晴らしい開放感。何もないのが逆にすごくいい。バーベキューやら犬の散歩やらキャッチボールやらテントの設営やら、もうすでに、思いつく限りの迷惑行為はあらかじめ禁止されており(ビニールシートをしいて寝転ぶことすらできない)、基本、歩くしかできません。

それにしても素晴らしい景色です。スマホのカメラでもそれなりに雰囲気のある写真が撮れるので、ちょっといいカメラを持って行ったら、かなりいい写真が撮れるだろうなぁ。

レインボーブリッジの向こうに富士山。

豊洲有明線ですかね。高いビルは、月島・勝どきの高層ビル群だと思います。通る車もほとんどない、まっすぐ伸びた大きな道路がちょっとSFの舞台っぽくて、良い景色でした。

ゆりかもめに乗って帰ります。朝のゆりかもめは本当に最高で、いかにも東京っぽい景色が堪能できる場所のひとつだと思います。

大型船が接岸できるところには必ずいるキリンの大群。ガントリークレーンというそうですが、キリン、キリン、と呼んでしまう。そして写真をたくさん撮ってしまう。

ここもすごいキリンの大群でした。

ゆりかもめに乗るたびにいつも反応してしまう反り返りのある構造物なんですけど、検索してみたら、首都高速湾岸線の東京湾トンネルの出入り口なんだそうです。この道路の先は品川です。

見るたびに、あの反り返りはなんだろうと思っていたんですが、これですっきりしました。