日別アーカイブ: 2014/01/01

あわびの酒蒸し

DSC_6871 by nekotano

元旦の夜は生ものから攻めるのがお約束。

まずは、30日に買ってきた本まぐろを全部食べちゃいます。貧乏性なので、一気にだなんて何てゼイタクな…と思うのですが、美味しいうちに食べちゃわないと、逆に勿体無いし、まぁ正月だしさ…と云い聞かせて狼藉します。

大根のツマくらい用意せんかい…と思いますが、どうしてもそこまで準備する余裕が無い。一応、わさびは買い出しの時に買うんですけど、何年経っても、何を評価のポイントにすればいいかが分からなくて、買うとき、本当に迷います。今年は「岩手産」とあった750円のお手軽サイズを買いました。いつもより妙に辛い気がするのですが、個体差でしょうか。それとも保存の問題?

帆立の昆布締めには、貝割れ菜とラディッシュの新芽の昆布締めを添えてます。これ、簡単で、いい箸休めにもなるので、結構好んで作ってます。ただ、夫も貝割れ菜は好きなハズなのに、昆布締めにすると絶対手を出さないのよね。これも、なんか、臭いのかしら。

手前にでんとあるのが、お正月のレギュラー、あわび。今年は三陸産でした。例年より小振りですが、それでも、この辺のスーパーで買えるものよりも二回りほど大きいです。

買ってきてすぐに、ざっと処理して、すぐに酒蒸しにしちゃいます。レシピは、冨田ただすけさんのサイトにあるもので。『祝いの料理』にも蒸しあわびのレシピがあるのですが、冨田さんのと全然違うので(しかも、凄く手数が多くて難しい)、ちょっと焦ります。でも、冨田さんのほうが簡単だし、問題なく美味しいので、もうここ数年はずっと、冨田さんレシピで。今年も美味しかったです。

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煮しめを大皿に盛り直して、せっせと食べます。海老芋と蓮根がすごく美味しい。

ただ、この蓮根は、酢水であく抜きしたあと、素揚げしてあく止めして、さらに3種類ほどのうまみを重ねた煮汁で炊いたものなので、不味いわけがない…とも思います。海老芋は下ゆでせずに炊くのですが、これで問題なく、柔らかく、美味しく仕上がるのには驚きました。

鶏団子の挽肉は少しフンパツして、地鶏の挽肉に合鴨の挽肉を半分混ぜてます。めちゃめちゃ旨いなーって思うのですが、夫はひとくちも食べないのよねぇ…。

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たぶんですけど、夫がおせちで好んで食べているのは、甘いものだけなんだろうなぁ…と思います。

今年はきんとんは、安納芋を使ってみたんですが、これが! ビックリするくらい甘くて(10%だけ砂糖を入れました)、口当たりが良くて(裏ごしはしましたが)、まぁ、とにかく、今まで作った中で一番おいしかったです。

冷めたら固まると思ってゆるめに仕上げたにもかかわらず、まったく固まる気配がないのが誤算でしたが、夫にはむしろちょうどよかったらしく、大絶賛されました。

ちょっとお飾りに、黒豆に矢羽の爪楊枝を指したのですが(8年目にして、ようやくこういう小物にまで興味が向くようになってきた)、それを見た夫が、「俺もやる」といい出して、玉子焼きにぶすぶすと刺していましたが、なんちゅうか、落ち武者みたいな玉子になってしまって、少し可哀想な感じ。

おせち

DSC_6865 by nekotano

あけましておめでとうございます。

これを書いてるのはそろそろ5日か…という時間なのですが、おせち自体は、今年もおかげさまで無事、元旦の午前中には、ご覧の通りの状態にまで仕上げることができました。例年、元旦に写真だけはアップしているのに、今年は三が日が過ぎても更新せず、ご心配をおかけしました。スイマセン…。

今年は、前日までの仕込みが予想以上にスムーズだったのが逆に仇となったか(紅白のほとんどを、ソファに座って見られたくらい、余裕かましてた)、当日朝の盛り付け等々にどえらい時間がかかって、ホントにしんどかった…。腹ペコなのに食べられないし、夫は待ちくたびれてガン寝しちゃうし…正月から地獄や…と思いました。もう、来年のおせちは、前の日に重箱に盛りつけるまでやってしまおうか…と思っております。

1枚目の写真がブレブレだったのは、もうヘトヘトで、見返す気力もなかったからだと思います。下3枚も私には珍しく、ばりっばりに補正していますが、まぁ、記録ですから…、変な色合いなのはどうぞご容赦ください。

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以下は、作ったものメモ。

一の重

  • 八幡巻 (有元葉子さん)
  • 龍眼巻 (土井善晴さん)
  • 数の子 (辰巳芳子さん)
  • 田作り (有元さん)
  • 叩きごぼう (有元さん)
  • 昆布巻・鰊 (土井さん)
  • 黒豆 (土井さん)
  • 炒めなます (土井さん)
  • きんとん
  • 玉子焼 (大定)、蒲鉾・赤 (鈴廣)、ゆで絹さや

テキストは例年通り、『有元家のおせち25品』と、『祝いの料理』の2冊。有元さんのおせちの本には『有元家のおせち作り』という本もありますが、この2冊はほぼ同じ内容ですが、決定的に違うのが、前者は甘みをみりんで、後者はメープルシロップでつけている点。個人的には、どっしりした甘さが好みなので、むしろ、古い本のレシピを好んで使っております。

今年のニューフェイスは、龍眼巻。ゆでうずら卵を芯に穴子で巻いてこってり味に煮たもの。個人的にはスマッシュヒット。夫は泥臭くてヤダと言っておりましたが(どこがだー、と思うのですが)、これは、来年も作る予定。

普通のなますだと持て余すので、昨年か一昨年から炒めなますにしてますが、もう、こっちの方が定番になってきました。これは、すごくいいです。

失敗したのが、叩きごぼう。これ作っている時、深夜だったので牛蒡を叩くことができなかったので(叩いていたら鳥が起きてきたので)手で裂いて作ったのですが、どうも、味の染み込みかたが微妙。黒豆も少し煮汁を詰め過ぎたかも。

あれこれ気になることを書いているといつまでも終わらないので、とりあえずこんなところで。完璧には程遠いです。

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二の重は煮しめ。今年は、数年ぶりに辰巳式にチャレンジ。辰巳先生の著作でではなく、『NHKきょうの料理 2007年12月号』に掲載されている「辰巳芳子のこれだけはつくりたいおせち」で紹介されているレシピに従って作りました。

煮しめの具は、干し椎茸、鶏団子、牛蒡(堀川ごぼう)、蒟蒻、焼き豆腐、里芋(海老芋)、蓮根、金時人参。

ちなみに、わたしは、『きょうの料理』の12月号のテキスト(おせちの特集号)だけは2005年以降はすべて持っているんですが、2005~2013年までの9冊で一番出番が多いのがこの2007年の号です。次の多いのが、村田吉弘さんが関西風のおせちを紹介する2006年の号。最近は、おせちを作る若い人が増えてきているなんて話も聞きますが、『きょうの料理』を定点観測している限りは、年々、時短テクニックの割合が多くなってきていて、ちゃんと作るというよりは、買うと高いから、作れる範囲で見栄えするものを…というニーズが強いのかな、という印象があります。

ともあれ、この煮しめは、本当に大変なレシピでして、今回も、途中で何度も「なんで、あたしは、こんな辛いことをしているんだろう…」と思いました。というか、数年前に一度やってみた時にあまりにしんどくて、もうやらん…と思ったのですが、昨年の夏にたまたま古い雑誌(『考える人』2011年秋号)を読み返していて、それは色んな作家先生に料理とは? と聞いて回る特集の号で、巻頭が川上弘美さんのインタビューだったのですが、その中で川上さんが「辰巳芳子さんの煮しめは大変だけどおいしいからやります」みたいなことを仰っていたのが実に印象的でして、うむー、じゃぁ、私も今年はやってみようかなぁ…と思ったのでした。

まだまだ未熟ですが、以前に作ったよりは、だいぶマシになったかな。料理って、真面目にやると、大変だなぁ…と、つくづく思わされました。

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お造りといいますか、生もの類。まずは、夫が毎年楽しみにしている蒸しあわび。今年のは、例年よりもやや小振りだなぁ…と思いつつ買ったのですが、その後に別のお店でもっと大きなものを見つけてしまって、内心地団太。来年はもっと上手に買い物してやる! と、心に誓いました。

あとは、スペイン沖で獲れた本まぐろの赤身。部位によってさっぱり味とこってり味と2種類提示されたので、近海物を買わない代わりに両方買ってみましたが、同じ赤身でもだいぶ違うのに驚きました。

さっぱり味は、いわゆるバリバリの赤身。鮪特有の酸味と、かすかな血の味。買って2日目だったので、もう夫は(臭くて)食べられないと言っていましたが、私はまだ全然問題なしでした。こってり味は、腹側に近いところでほんのり脂も回っていて、上等のめじまぐろみたいな感じ。夫はこっちは好きみたい。ってことは、これからはお店に行ったら、腹側の赤身を頂戴といえばいいのか。

あとは、刺身用の帆立を水を抜いてから昆布〆にしたもの、蒸したこのぶつ切り。この蒸したこが、妙に美味しくて、拾いものでした。

雑煮は、とっておきの昆布と鰹節で取っただしに、大分からの餅、菜花、せり、蒲鉾、飾り筍、柚子皮。菜花もせりも正月価格でうんざりですけど、ないと決まらないので、しょうがないですね。

ちなみに、今年夫が一番喜んだのは、大定の玉子焼…。今年はたまたま行列が短かったので並んで買ってみましたが、いつも買う松露よりも、こっちの方が口に合うそうです。

私の手製のおせちの中では、一番はきんとん、二番は数の子、三番は田作りだそうです。確かに、今年の田作りは、私も上手くできたなーって思ったんですよ。どうやら、コツは、最初の乾煎りにあるみたいです。こういう小さなコツも、来年まできちんと覚えていればいいんですけどねぇ。

大分から送ってもらった、日本酒を飲みながら、ひたすら食べて、飲んで、テレビ見て、寝て、いつも通りのグータラなお正月を送らせていただきました。

こんな調子ですが、今年もどうぞ、よろしくお付き合いください。